3月30日、参議院議員会館にて民進党厚生労働部門会議が開かれ、NCCUから染川事務局長と村上副事務局長が出席し、意見を述べました。
この会議は国会に提出された法案等について関係者などにヒアリングを行うというもので、NCCUは『地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案』について現場の意見を求められました。
村上副事務局長は、この法案にある『保険者機能の強化等の取組の推進』について「保険者機能を抜本的に強化するためには、都道府県の支援によって地域ごとに保険者を支える包括的なシステムの構築が急務である」と述べました。また、案に盛り込まれている市町村にインセンティブを付加することについて、「慎重に検討を進めることが必要」とし、「モデルケースとして例に上がるような、特別な市町村のデータを指標にするべきではない」と指摘しました。
そして『地域包括支援センターの機能強化』については、「介護離職を防止するためには、ケアラーへの対応の強化が必要であり、そのためにも地域包括の強化は必須。また介護の仕方は働きながらや、子育てしながらなど多種多様なため、それぞれのニーズにあった相談体制が必要」と述べました。さらに「委託型のセンター勤務の組合員からは、行政が丸投げ状態で、とても一緒にやっていく感じではない。人員を増やしていけるような費用がつくわけでもなく、とても手が回らない、と聴く」と現場の声を伝えました。また社会保障審議会介護保険部会でも地域包括支援センターの業務過多について多くの意見が出されていたことを踏まえ、「課題を精査しないまま、また新たな業務を課したところでうまく回っていかないことは明らかである」と意見しました。
『介護職員の処遇改善』について、「4月から、介護職員処遇改善加算に新たな区分が追加される。これまで国は加算算定に必要な要件を追加することで加算拡充を図ってきたが、全産業との平均賃金格差は縮まらず、本来の目的である処遇改善に結びついていない」と指摘。NCCUの『2016年 処遇改善調査』をもとに、「月給制組合員の月の基準内賃金の平均で全産業平均と比べ8万5408円の格差がある。また、平均年収では146万円の格差がある」と賃金実態を説明しました。
こうした処遇改善加算について「そろそろ国は、介護従事者のあるべき賃金水準を明確に示すべきで、もし加算を続けていくのであれば、あるべき賃金水準を上回る法人が処遇改善加算を取得できるようにするなど、これまでの仕組みを再構築するべき」と強く訴えました。
また、今回の法案とは別に、2016年11月のヒアリングで議員の方から質問があった、介護人材の派遣の実態について、「派遣で働く方の賃金の方が高いという逆転現象が起きている。法人が派遣元に支払う金額も高いため、収益を圧迫し、通常の労働者の処遇やモチベーションにも影響を及ぼしている」と指摘し、「労働者派遣法では病院、診療所等への医療関連業務への派遣を原則禁止している。介護業界もそれに準ずる扱いにして欲しい」と訴えました。
政府はこの法案の今国会での成立を目指していますが、民進党は処遇改善加算にさらに1万円の上乗せ等を盛り込んだ対案を提出しており、今後の推移を注視する必要があります。
川合孝典参議院議員もこの会議に出席