2月27日「第71回介護保険審議会介護保険部会」がベルサール九段下(東京都 千代田区)で開催され、今部会より久保会長が委員に就任しました。
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議題
1.基本指針について
厚労省は、介護保険給付の円滑な実施のために「基本指針」を策定しており、それを基に市町村や都道府県では3年を1期とする「介護保険事業(支援)計画」を作成しています。
今回は、「第7期(平成30年~32年度)介護保険事業(支援)計画」の基となる「基本指針」について議論が行われ、久保会長は「介護人材の確保及び資質の向上」という観点から次のように発言しました。
「第7期介護保険事業(支援)計画は3年毎の計画にとどまらず、2025年の団塊世代が75歳となる、いわゆる『2025年問題』に向けて大変重要な位置づけである。介護保険制度を持続させるために不可欠なのは『人材』である。現在、既に離職者の穴埋めができず人員基準を満たせないことを理由とした事業所閉鎖が頻発しており、組合員からは人材が不足して過重労働が発生しているなどの声も寄せられている。2025年には介護人材が38万人不足すると推定されているが、今でも不足している中で、どのような具体的な施策を講じて、この課題を解決するのかが喫緊の問題である。従って、第7期・第8期・第9期のそれぞれの計画の中で、何名を充足するという数値目標とその実効性確保のための具体的施策が必要と考える」
また、「介護保険事業(支援)計画」の「任意記載事項」に「人材確保及び資質の向上」が位置づけられていることに対して、「『人材確保及び資質の向上』の重要性を鑑みても、『任意記載事項』ではなく、計画に必ず記載しなければならない『基本的記載事項』として位置付けるべきである」と発言しました。
さらに、久保会長は市町村と都道府県に対して次のことを要望しました。
「私どもの組合員を対象とした『処遇改善調査』における月給制の年齢構成の推移を見ると、20歳代は2012年22.5%から2016年13.1%、また30歳代は2012年26.4%から2016年20.5%、というように両年代ともに5年連続で減少している。この若年層の減少傾向は、介護人材確保に黄色信号が燈っていることを表していると言える。福祉の学校へ進学をする学生数も減少傾向にあり、その上、学校の進路指導からは現実を踏まえて『介護職はやめておいた方が良い』などと指導されるケースもあると聞く。どうか、社会全体に対して、介護の仕事へのイメージがアップするような施策を講じていただきたい」
「最後に、介護職員の働く上で例年不満の上位に位置する賃金についてだが、2015年のデータで年間賃金総額を比較した時に、賃金構造基本統計調査の全産業平均は4,540,700円、私どもの『処遇改善調査』では『介護職員処遇改善加算』も含めた月給制年収は平均3,086,000円であり、1,454,700円の差が生じており、この数字を12カ月で割り返すと月額121,225円の差となる。これが私ども組合員の賃金実態である。『介護職員処遇改善加算』が、確実に介護職員へ行き渡っているのか、調査・検証をしっかりと行っていただきたい」
同部会の次回開催日は未定ですが、厚労省による基本指針は、文案の検討や法令審査等を経て、秋以降に告示される予定です。