9月18日、厚生労働省社会保障審議会の第48回介護保険部会が開催され、委員を務める河原四良NCCU顧問が出席しました。
今回の議題は『在宅サービス』と『施設サービス』で、河原顧問は現場からの意見や組合員を対象にしたアンケートの調査結果(トピックス「アンケート「要支援者の介護給付の適正化議論について」の結果発表」※ログイン後、閲覧できます)を元に発言しました。
厚労省の『在宅サービスについて』の総論では、「個々の事業所単位だけでなく、広く事業所間で連携し事業運営できる仕組みの構築」、「地域で不足している看護職員等の人材を柔軟に配置できるような連携体制の構築」、「介護事業者が地域における生活支援サービスに積極的に取り組むことができる体制の構築」の方向で見直しを検討し、地域における人材の確保や包括的な支援体制の整備を進めていく必要があるとしています。
これに対し河原顧問は「総論では、在宅サービスに関して柔軟な運用と規制緩和への体制作りが提案されていることについて、チームケアにおけるサービスが円滑に提供できて質の低下を招かない限り、規制緩和を進めることには賛成である。現場では、人員配置に必要な立場の者の離職で運営困難となり、急激な雇用変化がある事業所もあって、以前から利用者にとっても問題点だと考えていた。サービスの質の確保を検証した後、指定基準は必要最小限にして、事業者の自主性をもっと尊重することが、働く側にも働きやすく、質の良いサービスの提供につながるのではないか」と発言しました。
また、「介護事業者が生活支援サービスに積極的に取り組むことについては、介護の専門職が生活支援サービスを兼務することが予想され、質の向上につながると思われる。但し、なぜ『積極的』という言葉が使われているのかを教えていただきたい」と質問、さらに「この取り組みは『新しい地域支援事業』が地域によってバラツキがあったりサービスの低下を招かないためにも必要と考えるが、働く者にとっては、賃金に大きく影響するサービスの報酬水準も気になるところであり、保険者の適切な報酬設定にあたっては、国の関わりも一定程度必要であると思う」と意見を述べました。
上記の質問に対し、厚労省の事務局は「『積極的』の意味は、介護サービスの事業者が積極的にかかわることが、地域の活性化には不可欠と考えるからだ」と回答しました。
次に『施設サービス』の論点に「今後、特養においては看取りを行うことのできる体制をより一層強化していく」と記載されていたことについて、河原顧問は「働く者の立場から、特養の施設だけではなく看取りに関わる施設すべてに是非『体制の強化』をお願いしたい」と述べ、「NCCUが今年3月に行った就業意識実態調査(8/1掲載「2013年度就業意識実態調査の結果をPDFでご覧になれます」)では、「看取りの対応はしたくない」とする理由の中に、「医療的知識がない」「看取りの研修がない「精神的なダメージが大きい」、もっと現実的には「利用者と家族との接し方が分からない」とする声が多くあった。現場で働く者は一定の覚悟はしているが『体制の強化』の中にはこのような現場の意見も大いに反映していただきたい」と求めました。
厚労省の事務局は「ご指摘いただいたことを考慮して、『看取りの強化』を検討していきたい」と答えました。
次の介護保険部会は9月25日に開催される予定で、「低所得者の第1号保険料の軽減強化」や「一定以上所得者の利用者負担」などについて議論されます。
皆さんからご協力いただいた調査の回答は、現場からの意見として介護保険部会等で活かされています。