11月7日(木)、厚生労働省による「第5回ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」が開催され、染川朗会長がWebで出席しました。
今回は、これまで行われた第1回から第4回までの議論を取りまとめる『中間整理』の素案が提示され、それに対して以下のようにNCCUの意見を述べました。
様々な事案に対してワンストップで対応できる自治体の窓口整備が必要
法定外の業務について、独居等で担い手がいない場合や、緊急でやむを得ないためにやらざるを得ないといった実態があり、ケアマネジャーの強い社会的使命感から対応しているものと考えている。ケアマネジャーが不足している現状や、担当できる件数の上限が引き上げられ、ますます業務多忙となっていることを踏まえると、調査で判明している法定外の業務については、事案に対して自治体がワンストップで対応できる窓口を整備することなどが必要である。また財産管理や死後事務、高齢者等終身サポートなどについては様々なトラブルが起きている現状を踏まえ、高齢者への経済的虐待を未然に防ぐためにも、許認可あるいは規制ビジネスとして監視するための法整備等も検討するべき。
主任ケアマネジャーの評価の在り方については他のケアマネ指導に要する時間も踏まえること
居宅介護支援事業所において、主任ケアマネジャーは本来業務を遂行するにあたり、自らが担当するケアプラン件数を一定程度抑制する必要がある。しかし、その必要性に対する評価は事業者によって様々である。例えば一定の件数を上回って担当することで支給されるインセンティブが、一般のケアマネジャーと区別されずに対象となっているなど、主任ケアマネジャーにも制度上の上限件数を担当することを求める事業者も多く存在している。それによって、主任ケアマネジャーが業務過多となり、他のケアマネジャーへの指導が十分に出来ないケースが発生している。その原因は、求められる役割に対して明確な報酬が発生しない制度上の仕組みにある。そのため、主任ケアマネジャーの評価の在り方を検討するにあたっては、他のケアマネジャーへの指導に要する時間等も踏まえて評価をすることが必要である。
ケアマネジャーの処遇は経験・技能・知識等に応じた正当な評価に基づいた処遇にするべき
人材確保、定着に向けた方策について「他産業に見劣りしない処遇を確保する」と記載があるが、ケアマネジャーの担い手不足は介護業界内での他職種との処遇の格差に大きな原因があると考えられる。他産業と見劣りしない処遇が必要なのは介護業界全体で目指すものであり、ケアマネジャーの処遇に関して最も速やかに対応するべきは、業界内での経験・技能・知識に応じた、職種ごとの処遇水準とのバランスを考慮した正当な評価に基づいた処遇にすることである。NCCUの2023年賃金実態調査と2024年度の就業意識実態調査の結果によると、全ての職種の中で平均年齢が一番高いのが月給制・時給制ともにケアマネジャーとなっている。さらに月給制組合員のうち、介護業界での経験年数の平均が最も長い職種もケアマネジャーで平均18.7年、2番目は通所系管理者で16.2年、3番目が訪問系管理者で15.7年という結果となっている。しかし処遇に関しては、この3つの職種の中で最も低いのがケアマネジャーであり、平均年収は394.8万円で、訪問系管理者の平均年収より70万円、通所系管理者より35.4万円も低い。当然、他産業に見劣りをしない処遇の実現も必要だが、介護業界で働く他の職種と比較をして正当に評価をし直すことが急務である。
「更新研修を含めた法定研修を継続して実施することを前提」とするべきではない
法定研修の在り方について、NCCUとしては更新研修を含めた法定研修が全く不必要だと内容そのものを否定しているわけではないが、更新という仕組みのもとでは短期間に集中的に時間的・経済的な負荷がかかることや、必要な研修をタイムリーに受けることへの弊害もあることから、更新という仕組みを廃止して研修の在り方を見直すべきと意見してきた。可能な限り時間的・経済的負担の軽減を図るべく、その方策について検討することが適当とするのであれば、更新という仕組みを前提にするべきではない。実際に検討を進める前の中間整理の素案段階で、更新研修の継続が明記をされているのは、現場のケアマネジャーのアンケート回答結果をもとに発言しているNCCUの立場からすると違和感があり賛成できない。
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厚生労働省は、次回の検討会に中間整理案を示す予定です。
なお、今回の資料は第5回ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会 資料|厚生労働省に掲載されています。