2月10日、日本介護クラフトユニオン(NCCU)は第24回中央委員会を開催しました。ビジョンセンター田町(東京都・港区)に各総支部から組合員を代表する中央委員、役員をはじめ約120名が参集。執行部から提案された『2024労働条件交渉方針』『第27回参議院議員選挙必勝決議』は満場一致で可決しました。
【出席者】中央委員55名(招集62名)、役員22名(出席22名)など
【議長団】金子美花(東北・北関東総支部)、池方久史(中国・四国総支部)
冒頭、1月1日に発生した能登半島地震で亡くなられた方に対し、出席者全員で黙祷を捧げました。
挨拶に立った染川朗会長は2024年度の介護報酬改定について、「昨年、NCCU組合員やUAゼンセンの仲間を中心に展開した介護報酬改定に関する署名活動の効果もあって、何とか全体として1.59%のプラス改定になりました。厚生労働省は、今回の改定による処遇改善は2024年度2.5%、額にして7,500円、2025年度2%、額にして6,000円のベースアップによる賃金改善が可能としています。しかし、特に2025年度の2%引き上げの仕組みはいまだに具体的な方法が見えていません」と指摘。
「他産業との賃金格差や介護・福祉職員の離職者が入職者を上回ったことなどを踏まえると、処遇改善が上積みされたとはいえ満足できる結果ではありません。国は可及的速やかに他の産業と比して遜色のない処遇の実現を図るべきです」と訴えました。
「政府が新たに講じる処遇改善では物価上昇に賃金が追い付かないことは明白です。国の処遇改善策のみに頼ることなく、労働条件の向上のための力強い交渉を展開していかなければなりません」と述べ、組合員全員が一丸となって春季労働条件交渉に臨むよう呼びかけました。
(会長あいさつ文は全文は、こちらでご覧になれます)
また、今中央委員会には、第27回参議院議員選挙のUAゼンセン組織内候補者、田村まみ参議院議員が駆け付けました。
第2号議案『第27回参議院議員選挙必勝決議』が満場の拍手で可決したのを受け、田村まみ参議院議員は次のように力強く挨拶しました。
「NCCUの組合員の皆さんが調査活動などを通じて声を上げていただいているからこそ、国会で数字に基づいた発言ができています。そうした活動が実を結んで、全産業平均との賃金格差の是正が進んできました。
しかし、社会全体の賃上げに介護業界の賃上げが追いつかないようでは、この格差是正は止まってしまう。そういう思いで昨年11月の厚生労働委員会では、武見厚生労働大臣に『介護従事者の賃金水準を全産業平均と同じにしていく意思はあるのか』と何度も問いただし、『全産業平均に近づけていかなれればならない』と明言してもらいました。
ところが、今回の介護報酬改定は実際私たちが望んだものかというと、現場はそう思っていないという多くの声が届いています。
国民全体が必要とする介護を担う皆さんの処遇改善の流れを今変えなければ、介護保険制度の持続可能性はない。これをしっかりと訴えていきます。私は、改めてもう一期立候補をして、引き続き皆様とともに、介護産業の持続可能性と発展を求め、精一杯頑張っていきます」
今中央委員会は、最後に染川会長によるガンバロー三唱で閉会しました。
なお今中央委員会で決議された第1号議案「2024労働条件交渉方針」は以下の通りです。
NCCUの各分会は、この方針に沿って各法人との交渉に臨みます。
【2024労働条件交渉方針】(抜粋)
1.2024賃金改善交渉
(1)水準要求
引き上げ要求額の中に「介護職員処遇改善支援補助金」「介護職員等処遇改善加算」を含むこととする。ただし、従来の各処遇改善加算において一時金に充当していた分を月例賃金に移動したものや自治体独自の処遇改善策によるものは除く。
物価高による実質賃金低下対策、介護業界の賃金水準の向上と、全産業平均との格差是正を段階的に図るため、以下のとおりの引き上げを要求する。
・月給制組合員 引き上げ要求額 : 一人平均15,300円以上
・時給制組合員 引き上げ要求額 : 一人平均88円以上
・年俸制組合員 引き上げ要求額 : 一人平均244,800円以上
・介護事業に関連しない分会組合員:UAゼンセン総合サービス部門の要求方針に準じる
(2)制度要求
・「定期昇給制度」「扶養手当(家族手当)」がない法人に対し、それぞれの導入を要求する。また現状の制度に課題がある場合は、見直しを要求する。
2.2023年期末一時金交渉
介護職員処遇改善加算を取得している場合は、加算を申請する前年度の賃金水準(法人持出し額)を年間で下回ることがないよう、事前に前年度の賃金水準を確認する。
(1)月給制組合員:年間4.0ヵ月以上(夏期・冬期別要求はそれぞれ2.0ヵ月以上)
(2)時給制組合員:原則、期別要求で2.0ヵ月以上
(3)業績の良い法人、もしくは前年度支給実績で要求基準を上回る法人へは、上記を上回る月数を要求する。また、一時金制度が未整備な分会は、制度の導入を要求する。
3.分会独自要求
上記の統一要求とは別に、分会独自の課題解決に向けて1年間で最低1回は要求・交渉を行う。
「2024労働条件交渉方針」の全文はこちらから電子ブックでご覧になれます。
左・染川 朗 会長、右・田村 まみ 参議院議員