5月25日、「第58回社会保障審議会介護保険部会」がベルサール半蔵門(東京 千代田区)で行われ、委員である陶山浩三会長が出席しました。
今回は、
1.地域支援事業・介護予防の推進
2.その他
を議題として、事務局からの資料説明後に委員がそれぞれの立場から意見を述べました。
陶山会長は、「地域支援事業の推進」についてNCCU組合員に実施したアンケート結果とNCCU政策委員から行ったヒアリングを基に、次のように発言しました。
「現場からは、『これまで事業所だけで抱え込んでいた困難事例が、地域ケア会議の開催で他職種の方々からの幅広い意見によって解決に結びついている』『困難事例を地域で情報共有することで今後の対応に生かれさている』という意見があった。
しかし、平成26年度の法改正により訪問介護と通所介護の予防サービスが地域支援事業に移行したことで、『誰でも選択できる介護サービス』という原則に大きな障害が出てきている。
都心等、地価の高い行政区では採算が合わず事業者の空白地帯となっているところもあり、利用者へのサービスが困難になっていたり、行政区毎にサービスの価格が違うことも利用者の選択肢を狭めている、という実態がある。
さらに、この行政区毎のサービス価格の違いは、採算性が担保できないとの理由で包括からの依頼を受けない事業者もあると聞いている。これでは、包括のケアマネは一層たいへんなことになる。
このような事例を解決するためには、地域包括支援センターの守備範囲を他行政区と調整する一定の機能が必要ではないか。調整できれば事業者の地域ケア会議への参加を促進できるのではないか、と考える。
また、地域ケア会議は、地域の医師会と地域包括支援センターの共同開催としていただきたいと思う。医師会が主催の地域ケア会議では、医師や医療関係の方々の出席が多い、という意見がある。医療関係者が多く参加すれば介護職の啓発となり、医療介護の連携、医療関係者と介護職の意識の差を縮める、という意味でも、相互理解に一歩近づけるのではないか。そして、地域を医療介護関係者が一体となって支えていく姿が常態として実現できれば、地域ケア会議を活性化することにつながりさらなる前進に貢献できるものと考える。」
また、もう一つの視点として、施設関係者の参加促進を挙げ、
「施設ケアマネは、施設の中で業務が完結すると考えられるため必要性を感じていないということもあると思うが、『地域ケア会議から声がかからない』という意見もあった。地域ケア会議を通じて利用者の環境、特に既往歴等の共有はサービス資源が変更になってもアセスメントに役立つということもあり、会議への参加の仕組みが必要だと考える」
と意見しました。
次回、同部会は6月3日に開催される予定です。
社会保障審議会介護保険部会の会場