10月13日、厚生労働省社会保障審議会介護保険部会の第38回会合が開かれ、委員を務める河原四良政策顧問が出席しました。
昨年11月25日以来、約1年ぶりの開催となる今期の同部会では、政府・与党が7月に閣議報告した社会保障・税一体改革成案に沿って、介護分野における改革項目について議論されます。
一体改革成案では、「介護保険の費用負担の能力に応じた負担の要素強化と低所得者への配慮、保険給付の重点化」が掲げられており、具体的には「1号保険料の低所得者保険料軽減強化」「介護納付金の総報酬割導入」「重度化予防に効果のある給付への重点化」の3つの検討項目が示されています。
この日の会合では、上記3項目に関連するものとして、来年3月までの時限措置である「介護職員処遇改善交付金」について議論されました。
厚労省は処遇改善の効果継続を前提として、交付金を今後も継続した場合と、介護報酬に組み入れた場合、それぞれに必要な費用や財源を提示。それによると、現行の処遇改善交付金と同様の仕組みを継続した場合、年間約1,900億円が必要となり、一方、現行の交付金相当分をそのまま介護報酬に上乗せすると、+2%改定に相当し、国、地方それぞれに約500億円の公費財源が必要となります。
河原政策顧問は、処遇改善交付金について「介護従事者の離職率の高さが介護保険制度の運用に危機感をもたらせていると判断した当時の政府が、あくまで緊急避難的に導入したもの。労働組合として、緊急対策の観点からは一定の評価はしている」とした上で、次のように述べました。
「本来、処遇改善の取り組みは、労使自治の問題であって、国が直接干渉・介入すべきではないと考えている」
「交付金は、対象者を限定せざるを得ないことも問題。これは、チームワークが求められる介護現場において、職種間の心情的な軋轢を生んでいる」
「処遇を改善すべき職種を特定して公費投入を続けることは、介護以外の他職種から非難される可能性があり、『公正な社会』を標榜する労働組合にとって容認できるものではない」
同部会では、一体改革に掲げられた検討項目について処遇改善の財源確保方策も含めて議論し、今後4回(予備日1日含む)の会合を重ね、意見をとりまとめるとのこと。その後、厚労省は、次期通常国会に所要の法案を提出する予定です。
処遇改善を継続するための方策についても検討されています