11月20日(木)、「第129回社会保障審議会介護保険部会」が虎ノ門グローバルスクエア(東京都 港区)で開催され、染川朗会長がWEBで出席しました。
今回は、いわゆる“給付と負担”について議論され、染川会長は、主に『一定以上所得、現役並み所得の判断基準』、『ケアマネジメントに関する給付の在り方』について意見を述べました。
●2割負担拡大の議論 金融資産の保有状況の反映に異論なし
論点の1つ〈一定以上所得、現役並み所得の判断基準〉については、これまで第125回、第127回の介護保険部会で議論された内容をもとに、改めて資料が提示されました。
そのなかで、2割負担の対象範囲を、預貯金など一定の金融資産を保有する世帯に拡大する案が示されました。
染川会長は、金融資産の保有状況を反映する方向性に「異論はない」としたうえで、「預貯金の水準や、金融資産の範囲の公平性を棄損することがないように制度設計を」と求めました。
そのうえで、確定申告を行わない場合、金融所得が把握されないことで保険料や窓口負担の算定に反映されない現状に対し、「そうした不公平な取り扱いの是正等も講じていくことが重要」と強調しました。
一方で、2割負担となる所得水準を引き下げることについて、75歳以上の要介護の単身・夫婦世帯の収入と支出の状況を示す資料などから、「介護サービスを利用することを想定すれば、生活が維持できなくなる」と指摘。
「2割負担となる所得水準を現状から引き下げるべきではない」と反対し、2割負担の範囲の見直しについて、「金融資産を一定額以上保有する利用者の2割負担、課税所得の不公平是正にとどめるべき」と重ねて意見しました。
●ケアプラン有料化の問題点を列挙 有料老人ホームも対象とすべきではない
次の論点、〈ケアマネジメントに係る給付の在り方〉では、ケアプラン有料化について議論されました。これまでの議論の整理を踏まえつつ、複数の案が示されました。
そのうちの具体的な案のひとつとして、施設系サービスとの均衡の観点から、新たに有料老人ホームでのケアプラン有料化が提案されました。
染川会長はあらためてケアプラン有料化に反対し、問題点を列挙しました。
▷利用者負担を求めることで介護保険制度の利用抑制につながり、適切な介護を受けないことで重度化につながる恐れがある。
▷利用者の権利意識が高まることでケアマネの中立・公正な立場が崩れ、不適切な要求や介護保険サービス過剰利用につながる恐れがある。
▷利用者負担の請求業務、収受業務、金銭や債権管理業務が新たに発生。ケアマネの業務がさらに煩雑化する。
▷1割負担で約1,000円から2,000円の利用料に過ぎず、収受するためのコストと見合わない。
▷上記の費用が発生することで事業所の収支悪化につながる。
そのうえで、有料老人ホームのケアプラン有料化について、「有料老人ホームに対して居宅サービスが“囲い込み”を行うことを認めるように受け取れるため、利用者本位が損なわる恐れがある。また、有料老人ホーム以外の居宅介護サービス利用者との公平性の観点からも課題がある」と指摘しました。
同部会では、引き続き議論が行われます。NCCUは、各種調査結果や組合員の皆さんの声をもとに発言を続けていきます。
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今回の資料は第129回社会保障審議会介護保険部会|厚生労働省に掲載されています。