日本介護クラフトユニオン(NCCU)は、組合員の就業意識や実態を把握するために、結成当初より毎年『就業意識実態調査』を行っており、調査結果はNCCUの産業(介護)政策や労働政策に反映しています。
『2023年度就業意識実態調査』では、勤務間インターバルや、夜間・深夜勤務の実態などを調査しました。
『2023年度就業意識実態調査』概要
◆結果は本ページの下部の電子ブックPDFでご覧になれます◆
■調査期間:2023年3月23日~4月28日
■調査方法:月給制組合員4,881名、時給制組合員3,846名、計8,727名に調査票を配布
■回答数 : 6,010名(回答率68.9%)
8月30日(水)、NCCU本部にて記者報告会を開催し、内容を公表しました。
冒頭、染川朗会長は次のように述べました。
「この調査では毎年、回答した組合員の年齢構成をまとめているが、介護保険制度がはじまった2000年の調査結果を見てみると、当時は『20代から40代の子育て世代が多く就労している』との記載があり、2000年当時は若者がこの業界を支えていた。これは若い人が年を追うごとに減っている現在の年齢構成とは大きくかけ離れている。現在は介護で働く人が毎年高齢化しているのではなく、若い人が入ってこない、また入ってもやめているということであり、非常に危機感を持っている。
厚生労働省は、2040年度に2019年度と比べて69万人多い280万人の介護職員が必要だと推定している。しかし、これは69万人が増えれば良いということではなく、高齢のために退職する方の数も考慮なければならない。NCCUの組合員の年齢構成をもとに試算したところ、少なく見積もっても、新たに200万人以上の人がこの業界に入ってこなければ69万人の純増はできない。このままでは今の社会保障制度が崩れていくという現状を国民に伝え、必要なものはしっかりと措置をするのが国の役割ではないか。
いまは他産業も人材確保が進んでおらず、人材の獲得競争となっている。その競争に耐えうる賃金水準に近づける努力をしなければならない。介護報酬を含めた国の後押しなどを通じて処遇を改善し、若い人に入ってもらえるような、そんな介護業界に変えていかなければならない」。
染川朗会長
■2023年度就業意識実態調査
続いて、村上久美子副会長が『2023年度就業意識実態調査』について報告しました。
村上副会長は、「今回新たに調査を行った『夜間・深夜勤務』の実態について、特に注視しなければならないのが夜勤の時間に休憩が取れていない人がいるということ。労働時間が8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を与えなければならないと労働基準法で決められているが、実態は休憩を取りたくても取れないという状況になっている。
休憩が取れていない場合、休憩が取れていると答えた人と比べ、『集中力が低下するようになった』、『イライラするようになった』、『体調不良になった』などと答える人の割合が多く、休憩が取れないことによって明らかに心身への悪影響が出ている。特にグループホームで働く組合員は、一人夜勤のために休憩が取れないという意見が多かった。
今、来年度の介護報酬改定に向けた議論が進んでいるが、グループホームについては、入居者が他の施設サービスの入居者とは大きく違うということを大前提に考えなければならない。報酬改定の議論では、グループホームの夜勤の人員基準を、2ユニットで1人以上にする案や、AI、介護ロボットを活用することで人員基準を緩和しても良いのではないか、という意見も出ている。また前回の介護保険制度改正の際、特例として3ユニットでは2人体制でもよいということになった。しかし、1人で1ユニットを見るのも大変な状況にある中で、夜勤の人員配置を緩和することが現実的に可能なのかは疑問がある。しかも、夜間支援体制加算も人件費の1人分にも満たない。国にはこうした実態を踏まえたうえで考えていただきたい。また他の入所系サービスについても、3対1の法定人員基準以上の人員を配置して運営しているところがほとんどである。人材不足によって、夜勤の勤務体制は本当に脆弱になっている現状を知ってもらいたい」と述べました。
村上久美子副会長
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介護に関連する組合員にはお勤めの事業所に、個人組合員の方にはご自宅に『2023年度就業意識実態調査 速報版』をお送りしました。事業所に立ち寄ることが少ない組合員の方は、本ページ下の電子ブックでご覧ください。
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