5月20日(土)、連合が主催する『医療・介護フェス2023 ~安心と信頼の医療と介護 中央集会~』が開催されました。今回も新型コロナウイルス感染防止のため、YouTubeのライブ配信での開催となり、連合傘下の労働組合の医療・介護現場で働く組合員など約200人がウェブ視聴しました。第2部のトークセッションでは、NCCUの大滝雄一さん(政策部門・労働条件担当部長)が、コロナ禍での介護現場の状況や処遇改善の現況についてNCCUの取り組みを報告しました。
連合の芳野友子会長は、開会にあたっての主催者あいさつで、「間もなく診療報酬と介護報酬の同時改定に向けた議論が厚生労働省の審議会で始まります。2023 春季生活闘争でも引き継がれた賃上げの流れを、この同時改定にも反映し、医療・介護の現場に処遇改善を広く行き渡るようにすることが重要です」と強調。さらに「本日の 医療 介護フェスをきっかけに、私たち全員が自分ごととしながら、処遇改善をはじめとする医療・介護現場の課題の解決を目指す取り組みにつなげていきましょう」と呼びかけました。
続いて、『医療・介護の生産性向上を巡る議論と展望~現場本位の見直しに向けて~』をテーマに、三原岳氏(ニッセイ基礎研究所保険研究部主任研究員)が講演を行いました。
その後、『コロナ禍と処遇改善の現状』と『さらなる処遇改善の実現に向けて』をテーマにトークセッションが行われ、連合傘下の組合から3名が医療・介護の状況について報告しました。
コロナ禍でのNCCUの取り組み
NCCUから参加した大滝雄一さんは、まず『コロナ禍』での取り組みについて報告。
「2020年2月に、組合員に向けた『新型コロナウイルスに関する緊急アンケート』を実施し、圧倒的なマスク不足の実態が分かりました。そこで関係議員を通じて医療・介護・福祉の現場に優先的に衛生用品が行き渡るよう国に対して訴え、政府が立ち上げたマスクチームにも直接会って要望した結果、介護現場に優先的に配布してもらうことができました。
また、2020年4月、組合員が安心して働けるように、法人の判断で休ませる場合は100%の賃金保障を行うことなどを求めた『新型コロナウイルス感染症の対応に関する要求書』を各法人に提出し労働環境の整備にも取り組みました。
さらに2020年5月には厚生労働大臣宛に『新型コロナウイルス感染症の対応に関する要請書』を提出し、現場の厳しい現状を伝え対策を訴えました。その結果、在宅系の介護サービスも含めた全職種に対して一人最大20万円の慰労金の支給が決定されました。組合員の声が国に届いた大きな成果だと考えています」
NCCUの処遇改善の状況は
『処遇改善の状況』については、「コロナ禍においても加算や支援補助金の影響による処遇改善が進んでいますが、介護業界はもともと他産業との格差が大きく、現在もその差は埋まっていません。また、加算や支援補助金の対象外のサービスで働く人には恩恵がなく、職種間の格差も拡大しつつあります。これは法人との交渉では限界があるため、介護報酬で対応していかなければなりません」と指摘しました。
最後に、「さらなる処遇改善に必要なのはプラスの報酬改定です。来年の医療・介護の同時改定時はもちろんですが、それを待たずに今すぐ必要だと考えています。介護業界は、他の業界のように増大した経費を事業者の判断で価格転嫁することができません。さらに今年の他産業の賃上げによって格差が拡大しているのは間違いないと思います。このままでは、介護保険制度が私たち働く者の側から崩壊する恐れがあります。そのため『物価上昇を十分にカバーする継続的な賃上げ』が実現できるように臨時の報酬改定が必要です」と訴えました。
トークセッションの後、医療・介護の現場の処遇改善と人材確保を求めるアピール文が採択され『医療・介護フェス2023』は閉会しました。
◆大滝雄一さんの報告はYouTubeで視聴できます。こちらから。
◆『医療・介護フェス2023』をはじめから視聴する場合はこちらから(2時間7分30秒)