12月19日(月)10:00~13:00「第105回社会保障審議会介護保険部会」が開催され、村上久美子副会長がWebで出席しました。
今期最後の介護保険部会は、前回に引き続き「とりまとめに向けた議論について」を議題に、前回示されなかった「給付と負担」の部分を中心に議論されました。
村上副会長が発言したNCCUとしての意見は、以下のとおりです。
◆ケアマネジメントの質の向上
ケアマネジャーの法定研修費用の負担軽減に関して、厚労省も自治体に働きかけてくれてはいるが、未だに研修費用の差が大きい。さらに、ケアマネジャーの処遇改善も進んでいない現状で、高額な研修費用に大きな不満を募らせているケアマネジャーも多くいる。オンライン化の推進とともに受講費用の負担軽減について更なる自治体への要請をお願いしたい。
◆介護人材の確保、介護現場の生産性向上の推進
国は、構造的賃上げの実現に向けて取り組みを推進していく方針を示しているが、介護業界は成長産業と言われているものの、他産業と比べ平均賃金が低く、物価上昇分をサービスに価格転嫁できない。来年の春闘において国が示す賃上げが実現されれば、他産業との賃金格差はより拡大し、介護産業から他産業への労働移動が進み、介護保険制度が働く者の側から崩壊する恐れがある。したがって、具体的に目指す賃金水準についても触れるべき。
◆総合的な介護人材確保対策
介護職員の離職防止の観点から、「離職理由の大きな要因は職場の人間関係」と書かれているが、介護現場で慢性的になっている利用者・家族からのハラスメントも離職に結びついている。意見書の「高齢者虐待防止の推進」の中に「介護職員の心理的負担の軽減を推進していく」と記載されているが、是非とも利用者・家族からのハラスメント防止という観点からも考えていただきたい。
◆ケアマネジメントに関する給付の在り方
現場で働くケアマネジャーからは「ケアマネジメントの利用者負担を導入すべきではない」と訴える方が多くいる。理由として『本来の自立支援と違う強い依頼内容が増加する可能性が高い』『公正・中立性が確保できなくなる』『お金がかかるのでケアマネジメントを利用する人が減り、支援困難ケースの介入が遅れる』などが挙げられる。負担がかかることで、ケアマネジメントを必要とする人が利用しなくなる可能性があり、それは介護保険制度の理念に反することになるのではないか。したがって、ケアマネジメントの利用者負担の導入については慎重に検討するべき。
◆軽度者への生活援助サービス等に関する給付の在り方
要介護1・2の方でも多くの支援を要する方の在宅生活の継続や重度化防止の観点、そして、介護保険制度は要介護者のための保険制度なので、一部のサービスとはいえ要介護者向けの介護サービスを介護保険から除外することは適切ではない。要支援の地域支援事業移行時の課題についての検証に加え、現在の地域支援事業の実施体制の整備、そしてさらに拡充することが可能なのかも考慮しつつ検討すべき。
2022年3月からこの日まで、14回にわたり行われた第9期介護保険事業計画についての議論は、 『介護保険制度の見直しに関する意見』としてとりまとめられ、翌20日に公表されました。その中には、前述のとおり、組合員の声や調査結果に基づくNCCUの意見も随所に反映されています。
今後は、同部会がとりまとめた意見書を基に来年の通常国会に改正法案が提出され、2024年度からの制度改正が行われる予定です。
なお、今回の資料は第105回社会保障審議会介護保険部会|厚生労働省 (mhlw.go.jp)に掲載されています。