10月2日、厚生労働省社会保障審議会の第50回介護保険部会が開催され、委員を務める河原四良NCCU顧問が出席。今回は、厚労省の『都市部の高齢化対策に関する検討会』の報告書に関する議論のほか、検討課題として「介護納付金の総報酬割」「介護サービス情報の公表制度」などが示されました。
『都市部の高齢化対策に関する検討会報告書』は、今後、都市部では介護人材の確保が特に難しくなると想定しており、『国は、介護報酬改定を通じた処遇改善の取組の推進やキャリアパス制度の確立に向けた取り組みが必要である』と指摘。人材確保に向けて『広域的・総合的な』取り組みを進めることが必要で、『具体的には、介護に関係する団体が幅広く参画する協議会を都道府県が中心となって立ち上げ、(中略)介護人材の掘り起こし等に取り組むことが考えられる』としています。
この内容を受け、河原顧問は、すでに今夏から介護人材の確保・定着を目的とした『介護労働懇談会』が都道府県ごとに設置されていることを踏まえ、次のように発言しました。
「『広域的・総合的』な取り組みの具体策として記載された『協議会』とは、『介護労働懇談会』を指しているのか、それとも新たに立ち上げるということか。NCCUはいくつかの地域の『介護労働懇談会』に参加しており、地域性に焦点を当てた有意義な懇談会だと認識しているが、それとは別に『協議会』を立ち上げるのであれば、焦点が拡散してしまう懸念もあるのではないか」。
これに対し、厚労省事務局は、「協議会と介護労働懇談会はそれぞれ違うものであり、重複しないよう、また無駄のないように調整していく」と回答しました。
その他の検討課題の一つとして挙げられた『介護納付金』については、各医療保険者が負担する介護納付金を現状の『第2号被保険者の人数』による負担から『保険者の総報酬額』に応じたものにすることが、これまでに何回か議論されてきましたが、次期改正で結論を導く出すための論点整理は今回示されませんでした。
河原顧問は、「総報酬割について、負担の公平と応能負担の観点から検討すべきことは理解している。しかし、長い間議論してきたにもかかわらず、結論を先送りするような今回の論点整理に少々驚いた。そうであるなら、今後は、2号被保険者の範囲拡大も合わせて検討することが必要でないか。“介護を社会が支える”“すべての世代間の公平な負担”という観点からも、その必要性があると考える」と発言しました。
これに対し、厚労省事務局は、「ご指摘の通りで、その点については将来の検討課題と認識している」と回答しました。
平成18年度に制度化された『介護サービス情報の公表制度』についても、平成24年度に続いて見直しの方向性が示されました。各都道府県がインターネット等で公表している介護サービス事業所の情報に、新たな努力義務として『介護サービスに従事する従業者に関する情報(離職率、賃金表、定期昇給制度など)』を全国統一の内容で公表する案です。
これについて河原顧問は、次のように述べました。
「今回の提案は、事業者の質の評価や改善につながるものと捉えており、強く支持する。特に、離職率・賃金表・定期昇給制度・有休の取得状況・研修の取り組みは、NCCUの運動や主張とも密接に関係しており、介護従事者の労働条件の整備向上の視点からも重要な内容と考える」。
さらに、通所介護の設備を利用した法定外の宿泊サービス(いわゆるお泊まりデイ)の情報公表を検討する案についても、「今後の拡大の可能性や関心度の高さ、またサービスそのものの質の確保からも必要だと認識している」と理解を示しました。
同部会は、次回10月16日に開催される予定です。
今回、都道府県がネット上などで公表している介護サービス施設・事業所の情報に、
「介護従業者に関する情報」も全国統一の内容で公表する案などが示されました