10月9日(木)、「第126回社会保障審議会介護保険部会」が虎ノ門グローバルスクエア(東京都 港区)で開催され、染川会長がWEBで出席しました。
今回は『人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築等』について、第124回介護保険部会(9月8日)での意見を集約・整理した内容が示されました。あわせて『地域包括ケアシステムの深化(相談支援のあり方)』が提示され、染川会長が発言しました。
●“夜勤要件緩和”に断固反対
議題として挙げられた『人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築等』では、全国を「中山間・人口減少地域」、「大都市部」、「一般市等」の3つに分類するといった地域類型の考え方をはじめ、6つの論点が示されました。
そのなかで、「中山間・人口減少地域」でサービスの維持・確保のための必要な施策を講じたうえで、なおやむを得ない場合における『特例』が提案されました。
『特例』の案では、“サービスの質の確保、職員の負担等にも配慮しつつ、管理者や専門職の常勤・専従要件、夜勤要件の緩和等を行うことが考えられないか”とされています。
これに対し、染川会長は、「特例的対応として、人材確保を重点的に行うことや、生産性向上の方策など必要な施策を講じたうえで、やむを得ない場合とされているが、“職員の負担等への配慮”については、まだまだ前提とする条件が不明確となっている。前提条件をさらに具体化することと併せて、多角的にすることで、サービスの質の低下や職員の労働負荷増加防止に努めるべき」と求めました。
さらに、夜勤要件も含めて緩和する方向性が示されていることについて、「現在活用が進んでいる生産性向上のためのテクノロジーは、センサー等で状態をモニターすることや、介護記録を分析することで排泄介護などの適切なタイミングを予測すること等である。これらは生産性向上に一定の効果はあるものの、介護職員に代わって介護を行うわけではなく、緊急時の対応も含めて介護職員が直接介護することに変わりない」とICT機器の活用による生産性向上には限界がある点を指摘。
また、「認知症対応共同生活介護の夜勤体制は3ユニットに対し2名以上と緩和されているが、令和3年度の調査によると、3ユニットのグループホームのうち、わずか0.9%しか3ユニット2人夜勤の届け出をしていない」と夜勤体制の現状について重ねて指摘しました。
さらに、現場の組合員の声を取り上げ、「定められた人員基準では対応できない、夜勤時に利用者の急変等があるのではと常に不安、若い介護職員が夜勤時に看取りに接し、そのことが原因で退職に至った、など夜勤帯の体制に対する不満や不安の声が尽きない。よって、夜勤要件も含めて緩和をすることについては反対する」と強い姿勢で表明しました。
●ケアマネジャーの法定業務について今一度考え直すべき
次に、『地域包括ケアシステムの深化(相談支援のあり方)』の議題では、2050年頃に全世帯の5分の1が高齢者単身世帯になることが想定されていることを踏まえ、身寄りのない高齢者の抱える課題への対応が論点のひとつとして示されました。
身寄りのない高齢者が抱える課題として、生活支援、財産管理、身元保証、死後事務などが挙げられ、その解決方法としてケアマネジャーや地域包括支援センターが中心となって必要なニーズに対応した関係者・関連事業につなげていくことが提案されました。
これについて、染川会長は次のように問題点を上げました。
「ケアマネジャーが地域で必要な資源の開発や整理にかかわり、民間のサービスも含めた関連事業者へつなぐとなると、利用者と事業者の間においてトラブルが生じた際に、責任を求められるケースも想定される。しかし、ケアマネジャーがそれぞれの事業者の利用料金が適切なのかなど、安全性や健全性を評価することは困難。
また、昨年12月に取りまとめられた『ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会』の中間とりまとめでも、法定業務と法定外業務を整理し、法定外業務の削減を目指すべきとの方向性が示されている。地域ケア会議で必要な地域資源の開発について意見をすることなどはあっても、関連事業の開発そのものや、利用者を関連事業者につなぐ等の行為は法定外業務であり、ケアマネジャーの法定業務ではない」
そのうえで、「法定外業務についてケアマネジャーに相談があった場合は、ケアマネジャーから引き継ぎ可能な、ワンストップの窓口を行政サービスとして整える等の対応を検討してもらいたい」と要望しました。
同部会では、引き続き議論が行われます。NCCUは、各種調査結果や組合員の皆さんの声をもとに発言を続けていきます。
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今回の資料は第126回社会保障審議会介護保険部会|厚生労働省に掲載されています。