12月23日、第116回社会保障審議会介護保険部会が開催され、NCCU染川朗会長が出席しました。この日、第10期介護保険事業計画(2027年度から2029年度の計画)の策定に向けた議論が開始され、「介護保険制度をめぐる状況について」の議題に対し染川会長が意見を述べました。
● 介護保険料の上昇率抑制のため財源負担割合の見直しが必要
「介護保険財源の規模は、高齢者の増加に伴い拡大している。国はその財源を確保するため、消費税の引き上げで対応してきたが、これまで税金と保険料の負担割合は変更していない。そのため、保険料を負担する被保険者のひとりあたりの保険料負担は増加を続けている。特に1号被保険者数が増加する一方で2号被保険者数は減少しており、介護保険制度開始時と比較すると、現役世代である2号被保険者の保険料上昇率が顕著である。これらの課題を踏まえると、税金と保険料、国と地方、1号被保険者と2号被保険者などの財源負担割合を見直す必要がある。また、『社会で介護を支える』という理念から、介護保険料を負担する者の範囲を見直すことも含め検討すべき」
● 処遇の目標をより具体的に時限を定めて取り組むべき
「人材確保に向けた処遇改善について、他の産業に比して遜色のない処遇の実現が必要であることはこの部会でも確認されたものと認識している。しかし、昨年に続き今年の賃金改善も、他産業との格差是正どころか格差が拡大しているのが現状である。既に地域包括ケアシステムの要ともいえる居宅系のサービスでは、介護人材の不足により需要に供給が追い付かず、必要な介護サービスを提供できないケースが増えている。このままでは、他の産業に比して遜色のない処遇の実現が単なるスローガンとなり、永遠の課題となってしまうのではないかと危惧している。介護人材の不足という厳しい現状を踏まえると、人材確保に向けた対策として最も効果的な処遇改善は、目標をより具体的に設定し、時限を定めて取り組む必要があるもので、より踏み込んだ議論がなされるよう要望する」
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次期改正に向けた議論が本格的に始まりました。第10期の議論は2025年末ごろまで行われる予定です。
今回の資料は第116回社会保障審議会介護保険部会|厚生労働省に掲載されています。