12月19日、田村まみ参議院議員は参議院厚生労働委員会で、NCCUと事前に共有した内容をもとに、介護従事者の処遇改善とケアマネジャーの課題について、福岡資麿厚生労働大臣に質問を行いました。
●政府の施策でどれだけ賃上げは行われたのか
田村議員は、介護報酬改定による賃上げについて「2024年度の介護報酬改定で、政府は2024年に2.5%、2025年には2.0%のベースアップに確実につながっていくように加算率を引き上げたとしている。直近では2.52%の賃上げと報じられているが、これは介護事業者が何とか賃上げをと努力した持ち出し分を含んだ結果。報酬改定による政策の効果で2.52%賃上げされたとは思えない」と指摘。
さらに「2025年の2.0%の賃上げについては、現場ではまったく見通しが立たないという声が上がっている。そんななかでどうやってベースアップをするのか」と述べ、あらためて、「政府による施策での実質的なベースアップ分は何パーセントなのか」と認識を問いただしました。
福岡資麿厚生労働大臣は、「報酬改定による処遇改善の活用だけでなく、過去の賃上げやその他の取り組みを合わせての2.5%という目標。今年度の実績を見ても、他産業の賃上げが先行していることは認識しているので、補正予算でも介護分野での賃上げを進めるための措置を講じているところ。引き続き、様々な取り組みを合わせて取り組んでいきたい」と答え、具体的な数字には言及しませんでした。
その答弁に対し、田村議員は「もし集計が間に合っていないのであればまた質問するので、その時に数字を出してもらいたい」と再度要望。そのうえで、国の示す2.5%の賃上げを可能とする試算を予算面から疑問視。
「本当に介護人材を確保していくのであれば、その姿勢を実際に予算付けすることで示してもらいたい」とあらためて賃上げ効果の数値化を求めました。
●ケアマネは職責に対して処遇が不十分 大臣見解を求める
田村議員は、介護従事者の賃上げ状況を確認した上で、ケアマネジャーが重要な役割でありながら、同業他職種のなかでも職責に対して処遇が不十分である点を指摘し、大臣に見解を求めました。
福岡厚労大臣は、「処遇に関しては業務範囲の広さや責任の大きさから、職責にふさわしい処遇を強く求められていることは承知している。働く環境の改善、処遇の確保などの取り組みを総合的に実施していくことが必要」との認識を示しました。そのうえで、「『ケアマネジメントに係る諸課題検討会(ケアマネ検討会)』の『中間整理』でも『他産業、同業他職種に見劣りしない処遇を確保する』ことが盛り込まれていることから、関係審議会等でしっかり議論を進めていきたい」と答弁しました。
これに対し田村議員は、「来年に報酬改定はない。どうやって『ケアマネ検討会』の『中間整理』を実現していくのか、来年の国会で、また細かく詰めていきたい」と今後の議論に意欲を示しました。
●ケアマネ更新研修の廃止を
田村議員は、引き続き『ケアマネ検討会』の『中間整理』の内容に触れ「更新研修の廃止との方向性は明記されていなかったが、現場の声を鑑みて、5年ごとの更新研修を廃止して随時実施にするか、実施主体を各都道府県から国へ統一するか、このどちらかでもすぐできるのではないか」と述べ、厚労大臣の見解を求めました。
福岡厚労大臣は、「厚労省としては『中間整理』を踏まえ、まずは受講者の負担を大幅に軽減するための方策の検討を進め、その中で更新研修あり方そのものも、必要な検討を行いたい」と述べました。
それに対し田村議員は「都道府県ごとにバラバラという現状は、早急に対策を打っていただきたい。また、処遇に関しても、ケアマネの資格を使わないで働いたほうが賃金が良いといった現場の声がある。危機感を持って議論を進めてもらいたい」と要望しました。