8月28日、29日にネパールのカトマンズでUNI Apro(ユニ アプロ)のケア部会設立大会が開催され、NCCUから染川朗会長と村上久美子副会長が出席しました。
結成されたケア部会では、染川会長が副議長に選出されました。
●労働組合の世界組織「UNI」とアジア太平洋地域の「UNI Apro」
UNI(ユニ)は、「ユニ・グローバル・ユニオン」の略で、サービス産業で働く労働者で組織された世界的な労働組合の組織です。スイスを本部に、世界150カ国、900の組織が加盟しています。
UNIのもとには4つの地域組織があり、そのうちのアジア太平洋地域の組織が「UNI Apro」です。
また、UNIには地域組織のほかに、さまざまな産業を代表した組織の集まる「部会」があり、そのなかには介護産業が集まる「ケア部会」もあります。
これまでアジア太平洋地域のUNI Aproにはケア部会がなかったことから、今回、ネパールでケア部会の結成大会が開催され、日本やネパール、韓国やオーストラリアなど18カ国から28組合、118名が出席しました。
●ケア部会でNCCUの取り組みを報告
結成大会では、介護産業に関するさまざまなテーマでのパネルディスカッションが行われ、各国代表がそれぞれの国特有の課題や取り組みなどを報告しました。
そのなかで、「医療・介護現場における暴力とハラスメント」をテーマとするディスカッションでは、村上副会長がNCCUの取り組みについて報告しました。
村上副会長は、NCCUが2018年に行った『ご利用者ご家族からのハラスメントに関するアンケート』の結果を抜粋して紹介。さらに、厚生労働省に対策を求める要請を行ったことで、2021年の介護保険法改正時には介護事業者にハラスメント防止措置が義務化される成果につながったことなどを報告しました。
●染川会長によるスピーチで行動計画が採択副議長に選出された染川会長が登壇し、ケア部会の2029年までの行動計画を支持する立場からスピーチを行いました。
そのなかで、まず日本の介護業界の現状について次のように述べました。
「日本では、急速に進む超高齢社会によって介護に従事する労働者が不足している。本来、労働力の需要と供給とのバランスによって労働市場では賃金の上昇が起きるはずだが、そうはなっていない。これは公的保険制度のもとで国が報酬水準を決めていることが原因で、この仕組みが共通する国も多いことと思う」
染川会長はさらに、「この現状を変えていくためには、第一に組合の組織拡大を成し遂げるべき。それによって私たちの声はより大きな声となり、多くの課題が解決に向けて前進すると確信している。いまこそ国境を越えて連帯を強化するべき時機にある。そして、ケア労働者の国際的な賃金と労働条件の基準となる『国際公正労働基準』の確立をともに目指そう」と呼びかけました。
UNI Aproケア部会の2029年までの行動計画は採択され、2日間にわたる設立大会は閉会しました。
NCCUは今後も、公正な労働条件の確立のために、アジア太平洋地域をはじめとした国際的な活動に参加、参画していきます。