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とりくみ Labor policy / Political action

「訪問介護事業所」約6割減収の要因に関する談話

2025年4月24日掲載

2025年4月24日

── 厚労省調査結果を受けて ──

「訪問介護事業所」約6割減収の要因に関する談話

 

UAゼンセン 
日本介護クラフトユニオン(NCCU)
会 長 染川 朗

 3月31日、厚生労働省が開催した介護報酬改定検証・研究委員会において、昨年4月の介護報酬改定後、訪問介護事業所の約6割が対前年同月比で介護保険収入が減収したことが明らかになった。
 厚生労働省は、減収の理由を「訪問回数が減少したため」とし、その要因として「地方では高齢者人口が減少したため。都市部では利用者の増加により事業所間の競争の影響で利用者が分散したため」との見解を示している。
しかし、NCCUには、介護現場で働く組合員から「人手不足により、サービス提供を断るしかないので、事業収入が減った」という声が以前から届いており、訪問介護事業所の減収要因について厚生労働省の見解とは相違が生じることとなった。

 そのためNCCUは、居宅介護支援事業所のケアマネジャーと訪問介護事業所の管理者を対象に緊急アンケートを実施し、昨年の介護報酬改定以降の実態を調査した(回答数:居宅介護支援事業所のケアマネジャー470名 訪問介護事業所の管理者596名)。
 その結果、「人手不足により必要とされるケアプランが組めなかった」とするケアマネジャーは68.3%に上り、時間や曜日変更、回数を減らすことで対応していることがわかった。そして、「対応が出来ずに家族に介護をしてもらっている」41.4%、「何も対応ができなかった」19.3%となり、介護サービスを受けることができていない利用者、つまり介護難民が存在することが明らかとなった。
 また、訪問介護事業所では、「前年と比べて事業所収入が減少した」との回答が55.2%、その要因は「訪問介護員の人手不足により、依頼があっても受けることができなかったため」が73.3%と最も多くなった。訪問介護員の不足により、サービス提供を断ったことがある事業所も89.4%に上った。

 今回の調査で浮かび上がってきた「必要なサービスを受けられない実態」があることは、受益者もしくは受益者となりうるものが保険料を負担している介護保険制度の根幹を揺るがす事態であり、国は危機感をもって事態解消に向けて取り組んでいくべきだと考える。
 具体的には、訪問介護の基本報酬引き下げの見直しを含めた介護報酬の期中改定を行うとともに、減収により経営が困難になっている訪問介護事業所に対し補助金等の支援を行うこと、さらに、それを支える介護従事者不足を解消するために、処遇の更なる改善を早急に行う必要があると考える。

以上

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