5月9日(木)、厚生労働省による「第2回ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」が開催され、染川朗会長がWebで出席。現状・課題を踏まえて示された複数の論点のうち、「ケアマネジメントの質の向上に向けた取り組みの促進」について意見を述べました。
■ケアマネジメントの質の向上に向けた取り組みの促進について
現在、居宅介護支援の基本報酬は、ケアマネ1人あたりの担当件数が一定数を超えて増加するにつれて低くなる「逓減制」が導入されていますが、厚労省は、この逓減制を緩和する案を示しています。
染川会長は、NCCUが現役ケアマネジャー、主任ケアマネジャーの組合員を対象とした緊急アンケートを行い、4月26日から5月6日、短期間にもかかわらず641名の回答があったことを伝えた上で、その結果をもとに意見をしました。
その要旨を以下にご報告します。
1.逓減制の緩和をケアマネの75%が「評価できない」と回答
NCCUが実施したアンケートでは、まず「逓減制の緩和」についてどう思うか尋ねた。その結果を居宅介護支援事業所に勤務する440人に絞って分析したところ、最も多かった回答は「評価できない」75%、次いで「どちらともいえない」20.9%となっており、「評価できる」と答えた割合がわずか3.4%だった。
自由記述欄には、「現実的に無理」「担当件数の上限を上げる前に、ケアマネジメント業務が煩雑化していることを解決すべき」という意見もあり、経験の長いケアマネジャーからは、「ケアマネジャーの質の向上のために、以前、件数を減らしたはずなのに…」という声も聞かれた。
この結果を踏まえると、ケアマネジャー不足を単に取扱件数を引き上げるという方法で補うことは困難であり、無理に進めると質の低下を招きかねないと懸念する。
2.「オンラインモニタリング」「ケアプランAI作成」は関心度と利用度が大きく乖離、「ケアプランデータ連携システム」の普及促進策も必要
業務効率化・負担軽減におけるテクノロジーの活用に目を向けると、「オンラインモニタリング」については42.7%が「行いたい」と回答しているが、「既に行っている」は1.2%にとどまっている。また、「ケアプランのAI作成」については68.3%が「使いたい」と答えているが、「既に使っている」は1.4%にとどまる。
これらについては、「行いたい・使いたい」という回答率と、実際に「行っている・使っている」との回答率の乖離が著しく大きく、かつほとんど導入されていないのが特徴となっている。
国はこの乖離解消に向けた経済的・技術的支援の強化を進める必要がある。
また、アンケートでは、居宅介護支援事業所で「ケアプランデータ連携システムを導入している」とした回答が21%程度だったことから、ケアプランデータ連携システムの更なる普及促進を図るなどの対応が必要であると考える。
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検討会では他にも、事業者団体、現場の実践者等の参考人へのヒアリングも行われ、それぞれの現状や事例、意見などが紹介されました。
今回の資料は第2回ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会 資料|厚生労働省 (mhlw.go.jp) に掲載されています。
●なお、染川会長発言の根拠としたケアマネジャー対象のアンケート結果は下記電子ブックをご覧ください。
「ケアマネジャー限定 実態調査アンケート」集計結果