NCCUは10月18日、「2024年度介護報酬改定に向けた署名活動」に寄せられた62万2,365筆の署名を、宮﨑政久厚生労働副大臣に提出しました。
この署名活動は、2024年度の介護報酬改定が介護従事者の処遇改善に資するよう求めるとともに、7月に厚生労働大臣あてに手渡した『介護報酬改定に係る要請書―介護人材確保のために―』の実現を促すために、本年7月より実施したものです。
要請事項として次の2つを求めています。
【要請事項】
1.介護従事者が、介護の仕事を安心・安定して永く続けることが出来る水準に介護報酬を設定してください。
2.ご利用者・ご家族そして介護従事者が、理解し納得できるよう簡素な仕組みの介護報酬を設定してください。
・今回の活動で使用した署名用紙(要請内容)はこちら
18日午前、染川朗会長、村上久美子副会長、島卓事務局長は厚生労働省を訪ね、宮﨑政久厚生労働副大臣に面会し、62万2,365筆の署名を手渡しました。
染川会長は「本来は高齢者数がピークに達する2040年に向けて介護職員数を増やしていかなければならない場面にも関わらず、他産業への人材流出が加速している。2022年雇用動向調査では、2004年以来初めて離職者数が入職者数を上回り、介護職員数が減少していることが明らかになった。その原因が処遇の低さにあることは、これまで何度も申し上げてきた。既に訪問介護事業所では、介護職員の不足によって介護サービスの提供を断わらざるを得ないケースや、施設系事業所では空き室があるにも関わらず、利用者を受け入れられないといった状態も広がっている。このままでは、担い手不足により介護保険制度が崩壊してしまう。本日提出した署名に込めた62万2,365人の方々の思い、そして強い危機感をぜひとも共有し、一刻も早く、他の産業と比較して遜色のない賃金水準への引き上げを行うなど、即効性のある有効な手立てを講じていただきたい」と強く求めました。
続いて村上副会長は要請事項について説明を行い、「介護業界の喫緊の課題は人材不足。今年の春の賃上げでは一般企業の賃上げ率は3.58%。一方NCCUの賃上げ率は有額回答で1.6%、しかも半数以上の組合員は賃上げがゼロで、定期昇給もない。国が処遇改善を行っても、まったく追いついていない。このままでは介護業界から他産業に人材が流出し、介護難民、介護離職者が増えることは目に見えている。介護従事者が安心・安定して永く働き続けられる水準に介護報酬を設定していただきたい」と述べました。
染川会長、村上副会長の発言を受け、宮﨑厚労副大臣は次のように述べました。
「要請の趣旨はよく理解しているので、武見厚生労働大臣にもしっかり伝えたい。地元の介護事業者からも、人材確保や財務的なことから事業継続が大変厳しいという話は聞いている。また、今の処遇ついて対策が十分でないという声は承知している。方針にも記載をしているところで、引き続き対応していきたい。また、介護報酬の仕組みの簡素化についてもご指摘の通りだと思う。9月15日に開催された第224回社会保障審議会介護給付費分科会でも、加算のコード数が増えすぎているということも議題にあがっている。要請項目の趣旨がしっかり結果として実現できるようにしていきたい」
要請に同席いただいたUAゼンセン組織内議員の田村まみ参議院議員は、60万を超える署名について「介護現場で働くNCCUの組合員だけでなく、介護のお世話になる側のUAゼンセンの組合員も集めた署名。私も何度も署名を集めている現場に居合わせた。数もさることながら、ネットだけの署名ではなく、1枚1枚集めた署名ということを受けとめてほしい」と述べました。
さらに、UAゼンセン組織内議員の川合たかのり参議院議員は次のように発言しました。
「人材不足によって介護サービスが利用できないという実態がある。議論にはそうした介護現場の意見を取り入れていただきたい。そのための情報共有には積極的に協力したい」
宮﨑厚労副大臣はこれを受け、「政府としてどこまでやれるか、努力をしなければならないと思っている。皆さんの気持ちを反映できるよう努力することを約束する」と答えました。
署名提出後、厚生労働省内の記者クラブに場所を移して記者報告会を行い、染川会長と村上副会長が署名提出と要請事項について報告しました。
2024年度の予算編成に向けて、介護報酬改定の議論が本格的に始まります。今回お寄せいただいた60万筆を超える署名に込められた思いがどのように反映されるか、今後を注視していかなければなりません。
なお、今回の署名活動にあたりNCCU組合員だけでなくUAゼンセン加盟労働組合の仲間の皆さん、趣旨にご賛同くださった全国の介護従事者・介護事業関係者様、さらに業種・年齢を問わず様々な方々から署名をお寄せいただきました。
ご協力くださった皆さまに心より御礼申し上げます。誠にありがとうございました。