7月10日(月)10:00~12:00「第107回社会保障審議会介護保険部会」が半年ぶりに開催され、染川会長がWebで出席しました。
次の介護保険改正の最大焦点となっている「給付と負担」の見直しに関する議論が再開されたことから、染川会長は以下の議題について意見を述べました。
【議題】
1.基本指針等について※
2.給付と負担について
1.基本指針等について
◆ケアマネ法定研修費の負担軽減に「地域医療介護総合確保基金が活用可能」と記載を
「『地域包括ケアシステムを支える人材の確保及び介護現場の生産性の向上の推進等』という項目の中に、“ケアマネジメントの質の向上及び介護支援専門員の人材確保に取り組むことが重要である”として、“法定研修カリキュラムの見直しを踏まえた適切なケアマネジメント手法の更なる普及・定着を図るとともに、オンライン化の推進や受講費用の負担軽減を含め、研修を受講しやすい環境を整備していくことが重要である”と記載されている。しかしここに、地域医療介護総合確保基金が受講料の負担軽減等に活用可能であるとの記載がない。
地域医療介護総合確保基金をケアマネ法定研修の受講料の負担軽減に活用している都道府県は少なく、基金を活用している都道府県と活用していない都道府県によって法定研修の費用に大きなばらつきがあるために、強い負担感を訴えているケアマネジャーも大勢いる。
地域医療介護総合確保基金を活用できることを基本指針に具体的に記載することで、法定研修を受講するケアマネの経済的負担軽減につながるようにしていただきたい」。
2.給付と負担について
◆利用者負担割合の見直しは、きめ細かなエビデンスに基づいた検討が必要
「基本的に応能負担という考え方には賛同するが、医療とは異なり、介護の場合は利用者の支出が恒常的となることを前提とした検討が重要であり、後期高齢者医療制度との関係を重視するべきではない。また、応能負担を強化することで経済的事情により必要な介護サービスを受けられない高齢者が出てくることはあってはならないため慎重に検討するべきだ。
また、今回の資料で75歳以上の単身世帯および夫婦二人世帯の収入と支出の状況が示されているが、いずれも平均値であり、さまざまな個別の事情による支出の振れ幅を考慮せずに平均値のみをもって一律に判断するのは困難ではないか。介護サービスが必要になった場合の支出をしっかり予測した上で判断することも必要であり、介護サービスを利用していない高齢者を含めた収入と支出の状況の平均値のみをもって、給付と負担のあり方を検討するのは困難だ。もっときめ細かな様々なエビデンスに基づいて、実際に介護サービスを利用することによる支出の変化もシュミレーションしたうえで検討する必要があると考える」。
◆1号被保険者の保険料負担は、引上げの水準について慎重に検討を
「1号被保険者の保険料負担を多段階に見直しすることは概ね賛成だが、引き上げの水準を判断するにあたっては、負担増となる高齢者への影響を十分に考慮したうえで慎重に検討を進めていただきたい」。
※基本指針とは
○介護保険法において厚生労働大臣が定めることとされている「介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針」。
○都道府県及び市町村は、この「基本指針」に即して、3年を一期とする都道府県介護保険事業支援計画及び、市町村介護保険事業計画を定めることとされており、基本指針は計画作成上のガイドラインの役割を果たしている。
〇第9期(令和6年度~8年度)の基本指針においては、社会保障審議会 介護保険部会が昨年末に示した『介護保険制度の見直しに関する意見』を踏まえて記載を充実させる案が示されている。
資料は第107回社会保障審議会介護保険部会|厚生労働省 (mhlw.go.jp)に掲載されています。