日本介護クラフトユニオン(NCCU)は、結成当初より組合員の就業意識や実態を把握するために、毎年『就業意識実態調査』を行っており、調査結果はNCCUの産業(介護)政策や労働政策に反映しています。
『2022年度就業意識実態調査』では、組合員のキャリア形成についての意識や次期介護保険法改正に向けての意見などを調査しました。
8月10日(水)、NCCU本部にてオンラインと会場の併用による記者報告会で公表しました。
『2022年度就業意識実態調査』概要
◆結果は本ページの下部の電子ブックPDFでご覧になれます◆
■調査期間:2022年3月17日~4月22日
■調査方法:月給制組合員4,880名、時給制組合員3,836名、計8,716名に調査票を配布
■回答数 : 6,044名(回答率69.3%)
記者報告会の冒頭、染川朗会長は次のように述べました。
「現在、介護業界では人材不足が大きな課題となっている。2040年には2019年より69万人多い280万人を確保する必要があると発表されているが、日本の就業人口が減少を続ける中で、達成するのは極めて困難であり、強い危機感を持って様々な施策を講じる必要がある。
今回の調査結果でたとえ一割でも不安や不満があるようであれば、その課題に対してしっかりと対策を講じ解消に努めなければ、新しい人材を確保しても定着せず、人材の増加には繋がらない。
また、今回の就業意識実態調査と最新のNCCU賃金実態調査の結果から共通して見えてくるのは、賃金水準が低いことが大きな不満や不安の要因になっているということである。
NCCUは労働組合として労使関係の中で改善を目指して交渉を進めているが、介護業界の場合は、事業収入のほとんどが介護報酬であり、個別の労使交渉を通じた改善には限界がある。
介護報酬は介護従事者の処遇に密接に関係しており、社会全体で介護従事者の現状を知って処遇改善の必要性を理解していただくことも必要だと考えている。
介護職員は既に不足していることを踏まえ、最も有効な人材確保策は処遇の改善であり、重点的かつ速やかに策を講じる必要があるということを社会のみなさまにもご理解いただきたい」。
■2022年度就業意識実態調査
続いて、村上久美子副会長が『2022年度就業意識実態調査』について報告しました。
村上副会長は、「『キャリア形成について現在の仕事から職種変更、資格取得、転職を考えているか』について、一番目は『今の資格等に関する技能や知識の向上』だったが、二番目は『介護とは関係のない仕事への転職』が多く、その理由で一番多かったのが『年収や賃金を上げるため』だった。
『働く上での不安・不満』と『それらにより離職を考えたことがあるか』との設問の結果を複合的にみると、人材定着のキーワードは『賃金改善・良好な人間関係・やりがいのある仕事』の3つと考えられる。
また、『ICTの活用による人員配置基準の変更について懸念される課題や問題』については、『安全性が確保できなくなる』『サービスの質が低下する』などマイナスイメージの回答が多いが、自由記述を詳しく見るとテクノロジーの活用について『懸念が解消されるでのあれば推進してほしい』と賛成している方も多い。
ただ、介護ロボットやICTについて十分に理解できていない方もおり、現場の従事者が国や法人が積極的に推進しているテクノロジーの活用についていけていないと感じる。国はデータを集めるだけではなく、介護現場からの声も積極的に聞き、もっと丁寧な説明をして利用者も働く人も安心して活用できるようなシステムを構築して欲しい」と述べました。
また、次期介護保険法改正に関する調査結果について染川会長は、「たとえばケアマネジメント費用の利用者負担の導入は、現場の課題がある以上はそれをクリアしてから進めるべき。ケアマネの半数以上が賛成していないのはケアプランを組む上で自分たちの業務に大きな支障があるということで、これをクリアせずして前に進むということはNCCUとしては容認できない」と述べました。
NCCUは、今回の調査結果はもちろん、今後も様々な調査活動を通じて介護従事者の実態を把握し、労働環境や処遇改善につながる政策立案に活用していきます。
左・染川会長冒頭挨拶 右・報告する村上副会長
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介護に関連する組合員にはお勤めの事業所に、個人組合員の方にはご自宅に『2022年度就業意識実態調査 速報版』をお送りしました。事業所に立ち寄ることが少ない組合員の方は、本ページ下の電子ブックでご覧ください。
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