日本介護クラフトユニオン(NCCU)は、結成当初より組合員の就業意識や実態を把握するために、毎年『就業意識実態調査』を行っており、調査結果はNCCUの産業(介護)政策や労働政策に反映しています。
『2021年度就業意識実態調査』では、定点的に毎年調査している項目のほか「新型コロナウイルス感染症による影響」などについても調査。6,333名からの回答を得て、この度、調査結果を取りまとめました。
この『2021年度就業意識実態調査』と、別途実施した『介護現場のワクチン接種状況調査』の結果について、8月20日(金)、NCCU本部で開催した記者報告会で公表しました。今回は初めてオンラインによる参加も募ったほか、会場では消毒や検温、アクリル板の設置など、感染拡大防止に最大限努め開催しました。
『2021年度就業意識実態調査』概要
◆結果は本ページの下部の電子ブックPDFでご覧になれます◆
■調査期間:2021年3月10日~4月16日
■調査方法:分会組合員8,171名、個人組合員433名を対象に調査票を配布
■回答数 : 6,333名(配布8,604名・回答率73.6%)
『介護現場のワクチン接種状況』概要
◆結果は本ページの下部の電子ブックPDFでご覧になれます◆
■調査期間:2021年7月14日~8月2日
■調査方法:組合員が働く介護事業所にFAXで調査用紙を配信
■回答数 :1,003事業所(配信4,051事業所・回答率24.8%)
記者報告会の冒頭、染川朗会長は新型コロナウイルス感染症が訪問介護の現場にも広がりつつあることに触れ、次のように述べました。
「医療の現場では先進的に様々な対応が進んでいるようだが、その一方で介護現場は置き去りにされているのではないかと懸念している。例えば在宅医療では、国が方針を定めて一日一回の往診に9500円、訪問看護には5,000円の特例加算を認めている。ところが介護に目を向けると、『掛かり増し経費』という名目でひとからげにされていて、介護現場からは疑問の声が多く寄せられている。そんな中、今月になって『都道府県の判断により、掛かり増し経費の中で特別手当等を払うことを認めることができる』と発信された。これでは医療とは発信のレベルが全く異なる。
介護職員もいろいろな場面で濃厚接触は避けらない仕事をしており、特に訪問介護は、『感染する恐れがあることをサービス提供しない理由にしてはいけない』とされている。それにも関わらず、国が十分な対応をしないことには大いに不満を覚える。介護現場に向けたコロナ対応は都道府県や自治体に委ねるとされた部分があまりにも多く、介護現場は非常に混乱している。国は今こそしっかり対処してほしい。今日ご報告する調査結果と合わせて、こうした現場の状況もどうかご理解いただきたい」。
■2021年度就業意識実態調査
続いて、村上久美子副会長が『2021年度就業意識実態調査』について報告。村上副会長は、『働く上での不安』として『新型コロナウイルス感染症の罹患、発症』が3位だったことについて、「一過性のものと考えることもできるが、実際に離職してしまった人もいる。収束が見えない中で、国は介護従事者全員を無条件でワクチンの優先接種の対象とするなどの対応をとっていかないと、さらに離職者が増えるのではないか」と指摘しました。
また、『新型コロナにより働き方で困ったこと』の最上位『感染予防のための業務が増えた』について、「職種別に見ても全職種において上位3項目に選ばれた。特に通所系管理者、入所系管理者の選択率は70%以上で、コロナ罹患者が万が一発生した場合、たちまちクラスターにつながる可能性があることなどから、現場では感染予防に非常に気を遣っていることがわかる」と述べました。
■介護現場のワクチン接種状況
『介護現場のワクチン接種状況』の報告は、松本武久政策担当が行いました。
既に高齢者への接種目標は概ね達成され、高齢者に続く優先対象である高齢者施設従事者への接種、さらに自治体の大規模接種や職域接種も進んでいる状況です。しかし今回の調査からは、自治体判断による『在宅系サービス従事者』のワクチン接種が遅れているとの結果が明らかになりました。
松本政策担当は「感染拡大が続く中、在宅系サービス従事者は今まで以上に大きな不安を抱えてサービス提供を行わなければならない。国は、在宅系サービス従事者のワクチン接種を自治体の判断に委ねるのではなく、あらためて優先接種を積極的に進め、在宅介護サービスの安定的な提供維持に努めるべきと考える」と述べました。
NCCUは、今回の調査結果はもちろん、今後も様々な調査活動を通じて介護従事者の実態を把握し、労働環境や処遇改善につながる政策立案に活用していきます。
左・染川会長冒頭挨拶 右・オンラインでも実施しました
【NCCU組合員の皆さまへ】
介護に関連する組合員にはお勤めの事業所に、個人組合員の方にはご自宅に『2021年度就業意識実態調査 速報版』をお送りしました。事業所に立ち寄ることが少ない組合員の方は、本ページ下の電子ブックでご覧ください。
【報道関係・研究機関などの皆さまへ】
本調査の結果を転載、または引用なさる際は、当ユニオンへご一報くださいますようお願い申し上げます。
また、取材の依頼等も承っております。お電話、または下記のお問い合わせフォームよりご連絡ください。
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