10月2日(火)衆議院第二議員会館にて行われた立憲民主党社会保障調査会に、久保芳信会長、村上久美子副事務局長が出席。介護従事者の立場から意見しました。
この調査会は、NCCU政治顧問の山井和則衆議院議員が事務総長を務め、社会保障について具体的政策を提示するために設置されたもの。
この日のヒアリングでは、2021年度の介護保険制度改正にむけて議論されている「要介護1、2の生活援助サービス、通所介護等の地域支援事業への移行」「利用者負担の原則2割負担」「ケアプランの自己負担化」の3点について意見を求められました。
村上副事務局長は、まず「要介護1、2の生活援助や通所介護等の地域支援事業への移行」について、次のように意見しました。
「要介護1、2といった軽度の方は、認定調査によって介護度が上下したり、また地域による認定のばらつきもあったりと安定しない状態。重度の方に比べ軽度の方たちのほうが生活援助を利用する割合は多いが、生活援助は身体介護よりも難しいといった声をよく聞く。利用者が今まで暮らしてきた生活にあった形でのサービスの提供、また重度化を防ぐためにも生活援助は必要であり、やはり介護の専門職でないと難しい。
また、認知症の方は体が元気だと介護度が重度に認定されにくく、軽度であってもケアが非常に大変である。
地域支援事業については、自治体がサービス単価を決めるので、介護保険での単価より低く設定している自治体が多いなか、既存の介護サービス事業者が事業を受けないということが起こっている。そうなるとボランティアの方たちがサービスを行うことになるが、利用者が満足できるサービスが行えるのか、ということが心配である。
また、介護人材の不足を解消するために新たにできた『入門的研修』と『生活援助従事者研修』について、現在の実施状況はどうなっていて、またその検証はできているのか。サービスの担い手が確保されない状況での軽度者の生活援助の見直しについては時期尚早であると言わざるを得ない」
次に「利用者負担の原則2割負担」について、2015年の制度改正時に調査したアンケート結果を踏まえ、「現場では『介護費用の増大等に対応するためには、負担能力に応じた見直しはやむを得ない』という意見が50.1%と最も多かった。また、『2割負担の対象者は、所得だけでなく資産も勘案すべき』という意見も23%にのぼった。利用者の中にも、自分たちがもっと負担すべきという方もいる。
ただ、懸念されるのは、負担割合が増すことで介護サービスの利用控えが拡大し、家族介護の負担が増大したり、介護離職者が増えること。
さまざまな懸念はあるものの、NCCUとしては、原則応能負担にすべきと考える」と述べました。
最後に「ケアプランの自己負担化」について「ケアプランは介護保険制度の根幹として、またサービスの入り口として、介護が必要となった人が気兼ねなく相談ができるよう、原則として税で行ってきたと考えている。財源のかかわりもあるが、利用者の1割負担の導入については、今が適切な時期か否かを冷静に見る必要がある。
仮に自己負担になった場合、利用者にとって本当に必要な介護サービスを組み込むことができるのか、サービスの質の問題もある」と懸念を表明しました。
2021年度の介護保険制度改正については、2019年12月までに社会保障審議会介護保険部会で見直しに対する意見が取りまとめられ、2020年に国会に法案提出される予定です。
NCCUは今後も介護従事者の声が制度に反映されるよう、積極的に発言を行っていきます。