日本介護クラフトユニオン(NCCU)は、11月1日から7日に、組合員を対象に「消費税引き上げに伴う介護人材の更なる処遇改善策について」の緊急アンケートを実施し、この度、その結果をまとめました。
◆今回のアンケート結果をまとめた調査結果報告書はページ下のPDFでご覧になれます。
2019年10月、消費税率の引き上げに伴い、介護人材の処遇改善を目的とした介護報酬改定が行われる予定です。
これは昨年12月8日に政府が閣議決定した「新しい経済政策パッケージ」で示された『勤続年数10年以上の介護福祉士について月額平均8万円相当の処遇改善を行うことを算定根拠に、公費1000億円程度を投じ処遇改善を行う』という内容に基づくもの。現在、その具体的内容が社会保障審議会 介護給付費分科会で検討されており、処遇改善の対象者を介護職員以外(ケアマネや事務職等)にも広げられるよう柔軟な運用が認められる見通しです。
ただし注目すべきは、介護職員が在籍していないとされるケアマネ事業所・訪問看護事業所・福祉用具事業所の勤務者を処遇改善の対象から外す方向で議論が進んでいることです。
そこでNCCUは、この点について介護現場で働く組合員に緊急アンケートを実施。7日間という限られた調査期間で2,737人の回答を得ました。
この結果を、11月16日にNCCU本部で行った報道機関向けの記者報告会にて公表しました。
染川事務局長は今回の結果を受け、以下のように述べました。
「NCCUはかねてより『介護従事者全体』の処遇を改善すべきと発言しており、大臣にも幾度となく要請してきた。今回のアンケートの結果でも、処遇改善の対象者を限定することに大半の組合員が反対している。
今回、介護福祉士の資格保有率を調べたところ、最も高かったのが施設のケアマネだった。居宅系のケアマネでも8割を超えており、この結果からは、現場経験を重ねた人材がケアマネをやっているということがわかる。そのような人達を、処遇改善の蚊帳の外に置いていいのか大いに疑問だ。しかも、介護事業経営実態調査の結果をみると居宅介護支援事業所の収支は赤字の状態であり、処遇改善が図られる介護職との賃金の逆転現象も懸念される。
訪問看護については人材不足が顕著で、医療系の看護師との賃金格差を埋めなければ、人材確保にはつながらず、ますます看護師不足が加速すると考えられる。福祉用具専門相談員については、介護従事者の中でも非常に低い賃金で働いてる実態があり、賃金に対する不満がもっとも高い職種。処遇改善が進まなければ、福祉用具のスペシャリストにふさわしい賃金とはますます言えなくなる」。
最後に「介護の仕事はチームケアであり、介護従事者は職種に関わらず『同じ現場で働く仲間だ』という意識が非常に強い。3つの事業所に勤める介護人材を処遇改善の対象外にすることにはあらためて反対する」と結びました。
介護給付費分科会は12月中に審議報告をまとめる予定です。私たちの処遇に関わる議論のゆくえをしっかりと注視しなければなりません。
【消費税引き上げに伴う介護人材の更なる処遇改善策について】アンケート概要
●対象者: NCCU組合員
●回答者数: 2,737名
●調査方法:
日本介護クラフトユニオン組合員が勤務する全国3,569事業所に調査票をFAX送信。組合員各自がコピーし、無記名記入の後にFAX返信。
●調査期間: 2018年11月 1日(火)~11月7日(水)
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