NCCUは8月5日、田村憲久厚生労働大臣あての「要請書」を厚生労働省の三浦公嗣老健局長へ手渡しました。
「介護報酬の改定に係る要請書 ─介護従事者の処遇改善に向けて─」と題した要請書は、組合員からの声を書き添えた上で、次の6項目を求めています。
1.介護従事者の仕事が適切に評価される介護報酬の引き上げを行うこと
2.「介護職員処遇改善加算」を基本サービス費に組み入れること
3.身体介護と生活援助を一元化すること
4.要介護(支援)度が改善した結果を報酬上で評価すること
5.キャリア段位取得者を雇用している事業所を評価すること
6.医療行為のサービスを評価すること
会談の冒頭、陶山浩三会長は、「働く側の代表としてこの要請をさせていただく。介護の現場を支える組合員の声を、ぜひくみ取っていただきたい」とあいさつしました。
続いて染川朗事務局長が、組合員の声や現場の実態を交えて要請内容を説明し、介護報酬の引き上げをはじめとする具体的な対応を求めました。
「処遇改善の必要性は政府も十分認識していたただいているはずだが、具体的な策をとっていただくことが非常に重要。介護の現場では、人手不足のためにサービス提供を断ったり、やむなく事業所を休止、あるいは閉鎖せざるを得ない事態まで起きている。また、人手不足を補うために常勤者が過重労働を強いられ、さらに人材が離れていくという悪循環に拍車がかかっている。私たちは、このままでは介護保険制度が働く側から崩壊しかねないと懸念しており、人材確保のためには処遇改善が極めて重要だと考える」。
NCCUから要請書を受け取った三浦老健局長は、次のように述べました。
「適正な報酬が重要であることは間違いなく、審議会でこれから具体的な議論が進む中で、ご指摘いただいたご意見も出てくると思う。介護はなんと言っても、介護する方の一人ひとりに支えられており、その方々にモチベーションを高く持って働いていただくことが、最終的には介護の質に直結すると考えている」
また、介護職員処遇改善加算の取り扱いについて、「加算減算の多さは、介護報酬を複雑にしており、悩ましい問題といえる。(処遇改善の)メッセージをはっきりさせるためには、基本報酬に入れてしまうとメッセージがぼやけてしまうのではないかという懸念もあり、難しい問題をはらんでいる。審議会で議論していくことになるが、より多くの方々に喜んでいただける報酬を作っていくしかなく、報酬と合わせて実際の運用をどうするかという問題もある。いろいろな道具を使いながら、働く皆さんにやる気を持っていただけるようにしていきたい」と述べました。
なお、今回の要請には、民主党の山井和則衆議院議員にご尽力いただきました。
組合員から寄せられた声と共に、次期報酬改定に向けた要請を行いました
陶山会長(左)から要請書を受け取る三浦局長(右)。村上久美子政策部長、久保芳信副会長、染川朗事務局長も同席しました
「介護報酬の改定に係る要請書 ─介護従事者の処遇改善に向けて─」.pdf