9月24日、第33回社会保障審議会介護保険部会が開催され、委員を務める河原四良会長が出席しました。
今回は、介護人材の確保と処遇の改善策をはじめ、情報公表制度、介護保険制度における指導監督についての議論が交わされました。
議論の口火を切った河原会長は、全委員へ事前に提出した資料に基づき、介護保険制度の健全な発展のためのキーワードは「財政」と「人材」であり、人材の確保と安定には「処遇の改善」が喫緊の課題であると訴え、次のように発言しました。
「介護人材の“確保”はもちろん大切だが、“継続”がより大切な視点だと考える。労務相談などに関わってきた私の経験では、労働の継続には3つの要因が必要。第一に、社会水準以上の賃金が確保された職場であること。第二に休日、特に連続休暇を取りやすいこと。第三は人間関係や風通しも含め、コミュニケーションの良い職場であること。介護現場は、この3つがいずれも厳しい状況にあり、解決のカギは経営者と管理職が握っている」
また河原会長は、介護従事者の賃金水準の設定、昇給につながるシステム作りを求め、次のように述べました。
「処遇を改善するためにはまず目標を立てることが重要であり、“安いから上げる”“人材の確保が難しいから上げる”ではなく、一定の賃金水準を設定した上で、その水準を政労使が共通認識として持つことが最も大切だ。介護従事者が希望と誇りを持って働き続けるためには、誰でも真面目に働けば、全産業平均年収を下回らない水準を設定すべき。具体的には常勤者で450万円以上、非常勤者が均等待遇で時給1,800円以上。もちろん男女による差はあってはならない」
「キャリアパスは、介護従事者が進むべき能力アップの道筋を示すものであり、積極的に推進したい。その際、公正な考課制度は欠かせないが、そのシステムを作りたくても作れない事業者がいるのも事実。介護従事者の処遇については、賃金水準が低いことよりも、昇給していかないことの方がより大きな問題であり、国は、良質なキャリアパスに取り組む事業者を評価すべきと考える。また、個々人が培ってきた能力や資格を認証・評価する公的システム作りを提言してきた立場から、国の『実践キャリア・アップ戦略(キャリア段位制度)』を歓迎する」
さらに、介護職員処遇改善交付金はあくまでも緊急対策であるべきとして、以下の発言とともに、介護報酬単価への組み入れを求めました。
「労働者の賃金は事業者収益の配分によるべきで、交付金は本来、介護報酬の基本単価に組み入れるべき。国が直接労働者に賃金を支払う交付金のシステムは、事業者を経由しているとはいえ、違和感がある。また、現場の認識では、介護職員といえば介護保険制度のもとで働く全ての労働者のことであり、事務員、ケアマネ、看護師なども含むと捉えている。交付金が、財政上の課題や被保険者負担の問題等を考慮して平成24年度以降も継続するとしても、本来は介護報酬に組み込むべきものであることを忘れてはならない」
次の介護保険部会は、10月7日に開催される予定です。
とりくみ Labor policy / Political action
厚労省 介護保険部会に会長が出席 介護従事者の処遇改善策について発言
2010年9月27日掲載