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とりくみ Labor policy / Political action

「第59回社会保障審議会介護保険部会」に陶山会長が出席しました

2016年6月6日掲載

6月3日、「第59回社会保障審議会介護保険部会」が厚生労働省講堂で行われ、委員である陶山浩三会長が出席しました。

今回は、
1.介護人材の確保(生産性向上・業務効率化等)
2.その他の課題①(要介護認定、介護保険適用外施設における住所地特例の見直しについて等)
3.その他
を議題として、事務局からの資料説明後に委員がそれぞれの立場から意見を述べました。

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陶山会長は、業務の効率化や介護人材の確保策など、以下のテーマについて発言しました。
政府が現状・課題とする「各サービス施設・事業所の管理者が考える各業務に求められる専門性と実際の業務実態との間に生じる差」について
「訪問介護事業所の管理者が考える生活援助(掃除・洗濯・衣類の整理・ベッドメイク)に求められる専門性について『介護に関する知識、技術をそれほど有しない者でもできる』とした指摘は、問題であると感じます。
確かに『掃除・洗濯・衣類の整理・ベットメイク』と切り分けられた仕事ならば誰でもが出来るかもしれません。しかしベットメイクの名目で実際は利用者の身体状況や様子の確認等を行っているのであれば専門職の仕事だと思います。このように利用者に対する『自立支援』のためには、利用者の生活を総合的に支援する視点が必要だと考えます。たんに作業として生活援助があるわけではないことを申しあげます。
また同時に、私達介護の現場からは介護サービスの本質を外さないためにも、現状の身体介護と生活援助を一元化すべきとの意見があることも付け加えたいと思います。」

「ロボットやセンサー等の新しい技術を利用者に対するサービスの向上や労働環境の改善に繋げるために、どのような取り組みが考えられるか」について
「昨年の7月に腰痛と介護ロボットについてNCCU組合員にアンケートを行いました。『今後、介護ロボットを利用したいと思いますか?』という問いに44.6%が利用したいと答えました。
反面、『事業所で介護ロボットを導入している』としたのが0.6%、『利用したことがあるか』との問いには使ったことがあると答えた人は0.3%でした。
何故使ったことがないのに利用したいのか聞きました。『腰痛の予防になる』が36%、『腰の負担の大きい介助が楽になる』が45.9%との回答でした。
このように介護職のロボットに対する期待値が高いのは、ロボットに替わってもらいたいほど腰痛に悩まされていると言うことです。
実際に腰痛が『ある』との回答が56.8%、そのうち5年以上という長期に及んでいる介護職が20.8%という結果も申しあげたいと思います。
なお、介護業務には一定の業務を長時間続けて行うことはほとんどないため、都度パワースーツを装着する手間が課題であると思います。ロボットの改善はこれからとは思いますが、野球のグローブをはめるぐらいの感覚を目指していただきたいと思います。
それと腰痛を職業病として認めていただきたいと思います。発症の時だけでなく慢性化しても労災としてしっかりカバーする仕組みを作っていただければ現場は喜びます。とにかく『腰痛をいま何とかして欲しい』というのが介護職の願いです。
含めてこの腰痛をはじめとした介護職の力仕事には一刻も早い対策が必要です。予防として『正しい介助法の実践』との回答が多く寄せられており、介助法に係わるセミナー等の対策も早急に行っていただきたいと思います。」

「その他、処遇改善を含め、介護人材の確保策についてどのような対策が考えられるか」について
①「外国人介護人材受け入れ」について
「まず外国人の受け入れについてですが、政府は『国内人材の確保対策を充実・強化していくことが基本』としつつも、外国人の受け入れを進めています。
その中に技能実習制度があります。この制度は技能移転を趣旨としていますが、『日本人と同様に適切な処遇を確保し、日本人労働者の処遇・労働環境の改善の努力が損なわれないようにすること』を示しています。
しかし、そもそも日本人の処遇改善が道半ばである現在、実習生の処遇を日本人と同等とすることで日本人の処遇改善がストップすることにならないでしょうか。
確かに、介護職員の処遇改善に都合43,000円の措置がなされていますが反面、賃金センサスなどの調査結果では介護職は全産業と比較しても未だ10万円の格差が存在します。
このような労働環境の中に外国人が参入すると、結果としてこれから本番を迎えようとする超高齢社会の基盤となる日本人労働者の労働条件の改善が進まず、介護職離れに繋がると強く懸念するものです。
一方政府は、2017年から官民で日本の介護サービスをアジア諸国に輸出することを進めています。その過程で、現地に研修施設をつくり人材の育成も同時に行いつつあります。
圧倒的にこの日本型介護の輸出の進め方の方が、技能の研修には効率的であり、なおかつ経済効果も高いと思います。
今、政府として行っていただきたいことは、国内の介護職員を含む介護従事者の参入を増やすことであり、それには処遇を引き上げ、労働環境の整備に注力すべきと考えます。そして介護で働くことを通じ自己実現につながる魅力ある産業に育て上げることに傾注すべきと考えます。」

② 「介護職員処遇改善加算」について
「交付金から始まった処遇改善加算ですが昨今、この加算のみをもって処遇改善、いわゆる賃金改善の原資とする事業者が出てきていることを憂慮しています。27年度の介護報酬改定時に介護職員処遇改善加算を引き上げましたが、同時に介護報酬を引き下げたことなども理由の一つかと考えられます。
私達もこの加算は介護職員にとって確実に収入増に繋がるものとして一定の役割を担っていると評価するものですが、個々の事業者の賃金水準に関わりなく加算を行うことは様々な弊害も指摘されるところです。
同一労働、同一賃金が叫ばれていますが、介護保険は国の制度事業であり加算を含め客観的に介護従事者の賃金の基準を評価出来るような仕組みが必要ではないかと考えます。」

③「2020年代初頭に向けた総合的な介護人材確保対策の潜在介護人材の呼び戻し」について
「対象が介護職員となっていますが、不足するのは介護職員に限ったことではないと思います。是非介護従事者全般に対象を拡大していただきたい。」

最後にあらためて、NCCUの基本的考え方である「処遇の改善が唯一の人材確保の処方箋」であることを理解してもらうため介護の最前線で起こっている介護従事者の本音を紹介した。

【月給制の組合員の声】
人材不足に尽きます。今後ますます不安が増すばかり。賃金も上がらず物価は上がる。これでは新たな働き手どころか、現職も介護離れが起きる。「社会的な地位を獲得し、優秀な人材に充分な賃金を」。そして高い志を持つ質の高い介護職を増やしていかなければ安心して年をとれません。誰でも介護が必要な時が来るのです。最重要な課題だと思います。

【時給者の声】
ヘルパーの高齢化が気になります。自分自身も年々体力低下などを実感しています。もっと若い人が増えるようにしてもらいたいです。以前は、ご家族が「こちらでやります」と言われ、してくださっていた様々なことが、何でもヘルパー任せになってきていると思います。体力がもたないです。

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陶山会長(右から2番目)は、それぞれのテーマについて発言を行いました

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