文字の大きさ

トピックス Topics

具体的な議論はじまる 中山間・人口減少地域の介護サービス確保などで染川会長発言 第124回介護保険部会

2025年09月10日掲載

9月8日(月)、「第124回社会保障審議会介護保険部会」が虎ノ門グローバルスクエア(東京都 港区)で開催され、染川会長がWEBで出席しました。

前回までは、厚労省が設置した「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方検討会」の意見を集約した『とりまとめ』について議論されてきました。

今回から12月のとりまとめに向けて、より具体的な議論が開始されました。
この日の議題として厚生労働省は、『人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築』を提示。『介護情報基盤』とあわせ、2つの議題について議論されました。

●地域区分の明確化には客観的な具体的基準の明示が必要
高齢者人口がピークを迎える2040年に向けて、いかに医療・介護で支えていくか、また地域ごとのサービス需要の変化に対応するかを主なテーマに、以下の6つの論点があげられました。
①地域の類型の考え方
②地域の実情に応じたサービス提供体制の維持のための仕組み
③地域の実情に応じた包括的な評価の仕組み
④介護サービスを事業として実施する仕組み
⑤介護事業者の連携強化
⑥地域の実情に応じた既存施設の有効活用

そのうちの1つ目の論点「①地域の類型の考え方」では、全国を「中山間・人口減少地域」、「大都市部」、「一般市等」の3つの地域に分類し、その地域の状況に応じたサービス提供の確保のための対応が必要であることを踏まえたうえで、“新たな柔軟化のための枠組みを設けること”、“枠組みの対象地域の明確化”などといった考え方が示されました。

染川会長は、「①地域の類型の考え方」について、「『中山間・人口減少地域』において、枠組みの対象となる地域の明確化や、枠組みを拡大していくことは賛成する」と理解を示しました。
一方で、「その際、拡充対象の要件となる基準や、同一市町内に『一般市等』と『中山間・人口減少地域』が混在するようなケースにおいて、市町村未満の地域ごとの区分を明確化する客観的基準を可能な限り具体的に明示していく必要がある」と指摘しました。

●人員配置基準の緩和にあたっては、目に見える改善策を講じるべき
続いて、2つ目の論点の「②地域の実情に応じたサービス提供体制の維持のための仕組み」について議論されました。
これは「中山間・人口減少地域」では、人材不足で人員基準を満たすことが困難になっているという課題に対し、(サービスの質の確保や職員の負担等にも配慮しつつ、サービス・事業所間の連携等を前提に)人員配置基準などの緩和が考えられないか、ということです。

これに対し、染川会長は、「サービスの質の確保や、職員の負担等にも配慮しつつとあるが、具体的にどのように配慮するのか示されておらず、サービス・事業者間での間接業務等における連携以外について具体的対策となるものが明示されていないため、これのみをもって管理者や専門職の常勤・専従要件・夜勤要件の緩和等につなげることは拙速であると言わざるを得ない」と反対意見を述べました。
さらに、「具体的な効果的措置について、ICTやセンサー・介護ロボット等の介護テクロノジーの導入支援を行ったうえで導入・活用されていることを前提とする等、その他様々な目に見える改善策等をあわせて講じていく必要があり、慎重に判断を」と求めました。
一方で、「事業継続の可能性を高めるため、様々な切り口で重層的に対策を講じていくことは大変重要であり、引き続き実現に向けて具体化を図っていただきたい」と述べました。

●マイナンバーカード取得・管理は現場の負担とならないよう
2つ目の議題『介護情報基盤』では、介護情報基盤に登録される介護被保険者証の情報の有効活用や、マイナンバーカードとの連携についての案が示されました。
この案には、介護被保険者証の交付を要介護認定申請のときに変更する、また介護情報基盤にアクセスする際にマイナンバーカードによる確認も可とする、といった内容が盛り込まれています。

染川会長は、「介護被保険者証の事務や運用の見直しを進めることは賛成」としたうえで、「介護被保険者証の交付のタイミング変更については、現在でも守られていないため課題となっている」と指摘。
「原則として要介護認定申請から30日以内に要介護認定結果を通知する、というルールの徹底に悪影響がでることがないよう、要介護認定と介護被保険者証交付が並行して行われるように、しっかりと対策を講じていただきたい」と要望しました。
また、マイナンバーカードの活用について、「マイナンバーカードを取得・管理することができない高齢者がいることを前提とした記載もあるが、そうした利用者にじゅうぶんな配慮をすることが重要」とあらためて強調。
また、「マイナンバーカード取得・管理にあたって、現場の介護従事者の負担とならないよう進めていくこと、加えて必要とされる機器導入に関するコスト面の支援を行うことも併せて検討する必要がある」と指摘しました。

引き続きNCCUは、各種調査結果や組合員の皆さんの声をもとに発言を続けていきます。
 ◆  ◆  ◆  ◆
今回の資料は第124回社会保障審議会介護保険部会|厚生労働省に掲載されています。

ライフ&
レジャー
ガイド
TOP
に戻る