6月2日(月)、「第121回社会保障審議会介護保険部会」が虎ノ門グローバルスクエア(東京都 港区)で開催され、NCCU染川朗会長がWEBで出席しました。
この日の議題は、『地域包括ケアとその体制確保のための医療介護連携、介護予防・健康づくり、認知症ケア』、と『要介護認定』の報告の2点。
今回も『2040年に向けたサービス提供体制のあり方検討会』の中間とりまとめ等を踏まえて議論されました。
●情報のやり取りはすべてICT活用を前提にすべき 国主導で開発と運用を
まず、医療と介護の連携について、示された資料に好事例として紹介された取り組みがICTを活用している点に着目。
染川会長は、「以前、要介護認定にかかる期間を短縮するための議論でも、書類送付を廃止しICTを活用して認定期日の短縮に取り組んでいるとの成功事例も共有したところ。もはや情報のやり取りや共有にICTを活用することは、全てにおいて前提とすべき。しかし、全ての自治体がそれぞれバラバラに開発・運用を目指すことは、自治体によって、“出来る・出来ない”の問題がでてくる。それに加え、開発にかかる人手やコストの問題もあるため、ケアプランデータ連携システムのように国・厚生労働省が積極的に標準化を進めていくことも検討するべき」と述べました。
●介護予防・日常生活支援の上限額は、物価・人件費の高騰も勘案すべき
次に、介護予防・日常生活支援総合事業の上限制度の運用見直しについて、上限額の算定根拠が高齢者の伸び率となっている点を疑問視。
「自治体独自の多様なサービスを普及させることで、事業費軽減に結び付くこともある。しかし、そうしたサービス以外を利用している人が圧倒的に多い。そうしたなか、現在の上限額の算出根拠が高齢者の伸び率となっていることには違和感がある。伸び率以外に、昨今の物価や人件費の高騰といった要素を勘案するべき」と指摘しました。
●介護認定の調査は、調査・検討にとどまらず、具体的な対応につながる取り組みを
最後に、要介護認定について、かねてから在宅や通所などのサービスが一次判定に反映されていないとの課題があることから、国が調査を行うと報告がありました。
染川会長は、「現場からは『同じような状態でも自治体によって認定結果が異なる』、『認知症が認定結果に反映されづらい』、『ケアマネジャーの意見が反映されているのか疑問』など、認定までの過程と結果に問題が多いとの声が多く寄せられている。
政府が閣議決定した規制改革実施計画にも“一次判定は介護施設入所者のデータを中心に構築されている”と指摘があるように、在宅介護利用者や認知症の利用者にとって適切な介護度に判定されないことは、介護保険制度の基本理念でもある自立支援のためのサービス提供ができないこととなる。
これまで平成13年と平成19年にも調査を行っているが、具体的な是正措置が講じられていない。介護保険制度の公平性の観点からも、今回こそは、調査・検討にとどまらず、具体的な対応につながる様に取り組んでもらいたい」と要望しました。
同部会では、引き続き議論が行われます。NCCUは、各種調査結果や組合員の皆さんの声をもとに発言を続けていきます。
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今回の資料は第121回社会保障審議会介護保険部会|厚生労働省に掲載されています。