2月8日、日本介護クラフトユニオン(NCCU)は第25回中央委員会を開催しました。NCCU本部大会議室(東京都・港区)に、各総支部から組合員を代表する中央委員、役員など約120名が集まりました。執行部から提案された『2025労働条件交渉方針』は満場一致で可決し、各分会の賃金交渉がスタートしました。
【出席者】 中央委員48名(招集62名)、役員20名(招集23名)など
【議長団】 川瀬寛(甲信越・北陸総支部)、林田潤子(九州・沖縄総支部)
染川朗会長は挨拶に立ち、「厚生労働省は2026年度に約240万人、2040年度には約272万人の介護職員を確保する必要があるとしている。しかし、介護分野の有効求人倍率は依然として高い水準で推移しており、介護人材の確保は一層厳しくなることが想定される。そして昨年、厚労省は2023年の介護職員数は2.9万人減少したと発表した。この原因は明らかに、2021年まで縮小を続けていた全産業平均と組合員の賃金格差が2022年から再び拡大したからだ。こうした原因に早急に対処しなければ介護現場は人材不足によって崩壊してしまう」と指摘。
そして、「NCCUは対策のひとつとして政治顧問と連携した結果、今年1月に『訪問介護緊急支援法案』、『介護・障害福祉従事者処遇改善法案』を議員立法として衆議院に提出していただくに至った」と報告しました。
最後に「本日提案する『2025労働条件交渉』は、事業収入のほとんどが公定価格で、人件費やその他のコスト上昇分を事業者が自由に価格転嫁できない公的サービスに従事している私たちにとって、その実現は容易ではない。そのため、NCCU組織の総力をあげ、すべての組合員、組合役員がそれぞれの立場で協力していこう」と呼びかけました。
(会長あいさつ文の全文は、こちらでご覧になれます)
また、今中央委員会にはUAゼンセン組織内議員の田村まみ参議院議員が駆け付けてくださいました。挨拶に立った田村議員は、「日本の諸課題の根源にあるのが人口減少だと言われてる。現在の労働人口のボリュームゾーンである団塊ジュニア世代は、今はフルタイムで働けていても、あと10年たてば家族の介護が必要になり、同じように働けなくなる。経済産業省は、昨年ようやく介護をしながら働き続ける人のことを『ビジネスケアラー』と呼んでサポートをしていくことを打ち出した。これは、このままでは日本の経済を守れないと政府がようやく気付いた兆しではないか。介護で働く皆さんの処遇を改善し、介護の仕事の重要性を高め、現場で活躍できる環境にしなければ日本の経済は守れないということ。これからも皆さんの声を聞いて、国政に政策として届けるよう、共に取り組んでいきたい」と決意を述べました。
今中央委員会は、染川会長によるガンバロー三唱で閉会しました。
なお、今中央委員会で決議された第1号議案「2025労働条件交渉方針」は以下の通りです。
【2025労働条件交渉方針】(抜粋)
1.2025賃金改善交渉
(1)水準要求
引き上げ要求額の中に「介護職員等処遇改善加算」を含むこととする。ただし、従来の各処遇改善加算において一時金に充当していた分を月例賃金に移動したものや自治体独自の処遇改善策によるものは除く。
物価高による実質賃金低下対策、介護業界の賃金水準の向上と、全産業との格差是正を段階的に図るため、以下のとおりの引き上げを要求する。
・月給制組合員 引き上げ要求額:一人平均18,000円以上
・時給制組合員 引き上げ要求額:一人平均105円以上
・年俸制組合員 引き上げ要求額:一人平均288,000円以上
・介護事業に関連しない組合員:UAゼンセン総合サービス部門の要求方針に準じる
(2)制度要求
・「定期昇給制度」「扶養手当(家族手当)」がない法人に対し、それぞれの導入を要求する。また現状の制度に課題がある場合は見直しを要求する。
2.2025年期末一時金交渉
介護職員処遇改善加算を取得している場合は、加算を申請する前年度の賃金水準(法人持出し額)を年間で下回ることがないよう、事前に前年度の賃金水準を確認する。
(1)月給制組合員:年間4.0ヵ月以上(夏期・冬期別要求はそれぞれ2.0ヵ月以上)
(2)時給制組合員:原則、期別要求で2.0ヵ月以上
(3)業績の良い法人、もしくは前年度支給実績で要求基準を上回る法人へは、上記を上回る月数を要求する。また、一時金制度が未整備な分会は、制度の導入を要求する。
3.分会独自要求
上記の統一要求とは別に、分会独自の課題解決に向けて1年間で最低1回は要求・交渉を行う。
「2025労働条件交渉方針」の全文はこちらから電子ブックでご覧になれます。
(左)染川朗会長 (右)田村まみ参議院議員