文字の大きさ

トピックス Topics

「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」発足。村上副会長が働く者の立場として発言

2024年04月18日掲載

4月15日(月)、厚生労働省による『ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会』第1回が開催され、村上久美子副会長がWebで出席しました。
この検討会は、ケアマネジメントの質の向上と人材確保に向けた制度的・実務的な課題を検討することを目的としており、ここでの議論の内容は、今後の社会保障審議会介護保険部会にも影響する見込みです。

第1回のこの日、村上副会長は、現場でケアマネジャーを務める組合員にヒアリングした結果をもとに、示された議題について意見を述べました。
その発言の要旨を以下にご報告します。

1.ケアマネジャーの業務の在り方について
(1)ケアマネジャーの業務について業務の多さはもちろんだが、特に業務範囲の広さについては大きく2つの意見があがっている。
① 対利用者における業務範囲
ケアマネジャーの主な仕事は、相談援助を基本としつつ、適切なサービスを受けられるようにケアプランの作成や自治体・サービス事業者等との連絡調整を行うことだが、日常生活に関わる相談等を受ける立場にあるため、利用者や家族にとっては「とりあえずケアマネに相談・依頼する」という“何でも屋”になっている現状がある。
ケアマネ自身も「本来、ケアマネジャーとして対応すべき案件か否か」について考えてはいるものの、「誰も対応する人がいない」「緊急を要する」という、心情面や倫理的観点からも対応せざるを得ない現状が多くある。
② 対行政における業務範囲
介護保険と障害、また生活保護を受けている利用者の場合、障害や生活保護は行政が担当しているため連携が難しく、何度も役所に通い、行政側の担当者と連絡・報告を行わなければならないケースが発生している。
そこにはケアマネ業務の線引きの難しさがあり、業務範囲の明確化や誰がやるべきかの明確化を整理することが必要だと考える。

(2)公正中立の確保について
現在、自らが所属する法人の介護サービスに過度に誘導することを防止するために集中減算の仕組みがある。しかし、現場では集中減算に該当しない範囲での自社への誘導が行われているケースが多く存在しており、結果としてケアマネの公正中立の確保に関して、重大な悪影響を及ぼし、利用者のサービスの選択肢を狭めることになっている。
そのため、人事評価上の不利益の示唆や、所属事業者への貢献と称するなど、雇用する側の優位性を利用し、ケアマネに自社サービスへの誘導を行わせる行為を厳に行わせない仕組み構築が必要である。

2.人材確保・定着に向けた方策について
現在、ケアマネ資格を取っても活用していない人が一定程度存在しており、その理由として、「忙しい」「業務が多すぎる」「内容の割に賃金が低い」ということが挙げられる。また、「今やっている直接介護が楽しい」と思う人が多いことに加え、「介護職の方がケアマネより賃金が高い」ということもある。
ケアマネ資格を取得するのに相当な実務経験が必要な為、取得する頃には経験を評価され管理者等の立場にいる人が多くおり、そのような人たちはケアマネ資格を取得してもそのまま管理者等を継続している場合が多い。また、経験を積んだ介護職員は、ケアマネに職種変更すると賃金が下がるケースがほとんどである。実際、各種処遇改善加算が始まる以前は、ケアマネの賃金水準は管理者を上回っていたが、現在はサービス提供責任者と同等水準になっている。つまり、資格取得までに必要とされる経験と処遇のバランスが取れていないことになる。
したがって、ケアマネジャーの処遇改善を行わなければ人材は確保されず、定着もしない。現在の処遇改善加算の対象に加えることができないのであれば、ケアマネジャーに対する別の形の処遇改善策を構築すべきと考える。

3.法定研修の在り方について
現場からは、「なぜケアマネジャーだけ更新制なのか」「研修の必要性はわかるが更新制度にしなくてもよい」「研修費用が高い」「研修に参加する時間が負担だ」という意見が聞かれる。
法定研修費は、都道府県により大きなばらつきがあり、ケアマネの処遇改善も進まない中、高額な費用に対する大きな不満が継続している。また、研修内容や回数にもばらつきがみられる。
現場からは、研修不要とする意見も多いが、質の向上や業務の標準化の観点、介護保険制度の改正に関する情報共有の観点、そして国家資格としてレベルを統一向上させるという観点からも、研修自体を無くすのではなく、研修を分散し、よりタイムリーに開催することとし、5年ごとに過度な経済的・時間的負担を強いる現行の更新研修の仕組み自体を見直すべきではないかと考える。

今回の資料は第1回ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会 資料|厚生労働省 (mhlw.go.jp)に掲載されています。

ライフ&
レジャー
ガイド
TOP
に戻る