3月1日掲載記事「訪問介護現場の陽性者対応にも特別手当を」でご報告した通り、NCCUは、訪問介護サービスに携わる介護従事者が新型コロナウイルス患者のケアを行った場合の特別手当の支給について、山井和則衆議院議員(NCCU政治顧問)と連携し、国の対応を求めてきました。その結果、本日3月2日の衆議院厚生労働委員会において、山井議員の質疑に対する後藤茂之厚生労働大臣の答弁により、訪問介護従事者への特別手当等の割増賃金は「全額公費による支援」を受けられることが明らかになりました。
令和3年4月以降の特別手当は「全額公費による支援」
委員会質疑に先立ち、山井議員は2月28日と3月1日の2日にわたりNCCU染川朗会長、村上久美子副会長と面会。陽性患者のケアにあたる訪問介護従事者への特別手当支給を国に求める際の具体的内容について情報交換を行いました。
その内容を踏まえ、山井議員は今日の委員会質疑の冒頭で、後藤厚生労働大臣に対し、特別手当の公費負担は可能なのか否かを尋ねました。
「入院できないコロナ陽性者が増えている中で、ヘルパーさんは誰かが介護しなければならないという使命感で支えてくれている。陽性者・濃厚接触者となった高齢者や障がい者の訪問介護に行った場合、事業者の判断でヘルパーに特別手当を付けたら、その全額を国庫負担でみていただくことはできないか」。
これに対し、後藤厚労大臣は次のように答えました。
「感染防止対策を徹底した上でサービスを継続いただいている事業者への支援は非常に重要。特別手当などの名称に関わらず、感染者や濃厚接触者に対応した事業所等が労働の対価として職員に支払う割増賃金のたぐい、あるいは手当などのかかり増し経費は、『地域医療介護総合確保基金』を活用して補助しており、全額公費による支援となっている」。
この大臣答弁は、厚労省による『地域医療介護総合確保基金』の『新型コロナウイルス感染症流行下における介護サービス事業所等のサービス提供体制確保事業』令和3年度予算を活用して全額公費で支援する体制が既に整っているというもので、令和3年4月以降に事業者が支払った特別手当もさかのぼって全額公費負担されるということです。
大臣答弁により、額の目安や、助成上限額を超えた際の対応も明らかに
続いて山井議員は、その金額の目安について質問しました。
「では、いくらなら良いのか。担当部局に尋ねたところ、『社会通念上の適当な額』との答えしか得られなかった。仮に、申請した後で『社会通念上、不適当』と却下される可能性があるとしたら、事業者は怖くて特別手当を支払えない。そこで、例示として聞きたい。『1回のホームヘルプに対するヘルパーさんの給料と同額程度の特別手当を事業者が上乗せして出した場合、全額公費負担される』と理解して良いか」。
これについて後藤厚労大臣は、「実際の申請に基づいて判断することになるが」と前置きした上で、次のように答えました。
「感染者が発生した事業所であること等の補助要件に該当すれば、全額公費負担による補助対象となり得る。『給料と同額程度の特別手当』を事業者が上乗せしたような場合、『社会通念上の適当な額』と考えさせていただく」。
山井議員はさらに、前述の『確保事業』で設定されている上限額を超えた場合の対応を尋ねました。
「介護事業者の場合、助成費用の上限額は年間32万円。でも防護服などで既に使い切ってしまった事業者もある。その場合は、個別協議により厚生労働省が認めれば上限を超えて良いとのことだが、上限32万円を超えている事業者について個別協議した場合、ほぼ確実に認めてもらえると考えて良いか」。
この質問に対して、後藤厚労大臣は「これまでに、厚労省で却下した事例はなく、すべて承認しているので、委員のご指摘の通り進むものと考える」と答えました。
今週中にQ&Aを示し、訪問介護員の特別手当支援の仕組みを周知
最後に山井議員は、陽性者・濃厚接触者の判断が速やかに行われていない現状を踏まえ、簡素な資料で手続きできるよう要望すると共に、多くの事業者が申請しやすくなるよう、厚労省から各自治体・関係団体に向けて具体的なQ&Aを今週中に発出することを求めました。
それを受け、後藤厚労大臣は、「必要な事業所等に活用していただくことが重要だと考えている。かかり増し経費支援の仕組みをわかりやすく周知する観点から、これまでご指摘いただいた事例を例示しつつ、必要な事項を今週中にQ&Aでお示ししたい」と明言しました。
これまで、新型コロナウイルスの感染者や濃厚接触者のケアに携わる訪問介護従事者への特別手当については、国から十分な周知がなされていませんでしたが、今回の山井議員の委員会質疑によって、後藤厚労大臣から「全額公費負担」との明確な答弁を得ることができました。
今後NCCUは、各分会と法人との交渉において、感染者や濃厚接触者のケアにあたる訪問介護従事者の特別手当についても取り組んでいきます。
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