NCCUは10月19日、2021年度介護報酬改定に向けて実施した署名活動に寄せられた50万9,323筆の署名を田村憲久厚生労働大臣に提出しました。
今回の署名活動は、2021年度介護報酬改定が介護従事者の処遇改善に資するように求めると共に、9月に厚生労働大臣宛に手渡した『介護報酬改定に係る要請書-介護人材確保のために-』の実現を促す目的で本年8月から実施したものです。要請事項として次の2つを求めています。
【要請事項】
1.介護従事者が、介護の仕事を安心・安定して永く続けることが出来るよう介護報酬水準
を設定してください。
2.ご利用者・ご家族そして介護従事者が、理解し納得できるよう簡素な仕組みの介護報酬
を設定してください。
19日午前、染川朗会長、村上久美子副会長、島卓事務局長はUAゼンセン松浦昭彦会長らと共に厚生労働省を訪ね、田村憲久厚生労働大臣に面会し50万9,523筆の署名を手渡しました。
染川会長は田村厚生労働大臣に対し、「新型コロナウイルスの影響で介護現場では依然として緊張状態が続いており、現在も自制・自粛・我慢の毎日が続いている。このような介護従事者の現在の状況もご理解いただいたうえで、来年4月の介護報酬改定において、介護従事者の仕事の価値に見合う正しい評価をしていただき、人材不足がこれ以上深刻にならないようお願いしたい」と求めました。
続いて、村上副会長は要請内容について大臣に「今回提出した50万筆の署名の内、約39万筆は介護業界以外で働く方から、介護サービスを利用する立場として署名いただいている。介護従事者のみならずご利用者と家族からの要請であることを念頭においていただきたい」と述べました。
染川会長、村上副会長の発言を受け田村厚生労働大臣は次のように発言しました。
「処遇改善に関しては、他の産業で名目賃金が上がっているので追いついていかないというのが現状です。仕事が大変な上に処遇が低いとなかなか人が集まらない。処遇改善は今回の介護報酬改定の柱でもあるので、よく議論いただいたうえで最終的な報酬改定をしていきたい」。
「介護報酬は非常に複雑になっている。簡素化するというのはひとつの方針でもありますから、若干なりとも簡素化してわかりやすく説明がつくようにしていかなければならないと思う。しっかりと対応できるよう努力していく」。
「全体として少子化で生産年齢人口が減ってくるので、その中で人材不足の介護をどうしていくのか本当にいろんな知恵を出していかなければいけない。介護ロボットなどは使っていかないといけないが、最後はやっぱり対人なので、人の温かみのある介護をこれからも続けていくために人材確保についてしっかり検討したい」。
署名提出後、厚生労働省内の記者クラブに場所を移し、記者報告会を行いました。
染川会長が署名提出の報告を行った後、村上副会長は今回の要請について次のように述べました。
「現在、介護業界の有効求人倍率は8月の時点で3.88倍と人材不足は深刻な状況であり、介護従事者は現在コロナ禍の中で休みたくても休めない状況のもと業務に従事している。介護人材の確保と定着のための最大の処方箋は処遇改善と考えているが、現在の全産業平均賃金は30万7,000円、対して介護は23万4,000円。依然として7万3,000円位の格差がある。国として処遇改善加算を実施しているが、それでも差は縮まらない状況にある。介護従事者が希望と誇りをもって永く働き続けられる処遇を実現させて、介護保険制度の持続を可能にする観点から、今回の要請をさせていただいた」。
2021年度の予算編成に向けて、本格的に介護報酬改定の議論が始まる時期になりました。50万余筆の署名に込められた、介護従事者のみならずご利用者と家族からの要望を介護報酬に反映させるべく、NCCUは関係議員や関係諸団体に積極的に働きかけていきます。
なお、この署名提出にあたり、NCCU組合員をはじめ、UAゼンセンの加盟労働組合の仲間、趣旨にご賛同くださった各地の介護従事者の方々などから多くの署名をいただきました。ご協力くださった皆さまに、心より御礼申し上げます。誠にありがとうございました。
また、この度の大臣訪問にあたっては、UAゼンセン組織内議員である川合たかのり参議院議員、田村まみ参議院議員のお二人にご尽力いただきましたことをご報告致します。
今回の活動で使用した署名用紙(要請内容)は下記のPDFをご覧ください。