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「外国人技能実習制度」による介護分野への外国人労働者受け入れ拡大に対する事務局長談話

2014年06月11日掲載

2014年6月11日


「外国人技能実習制度」による
介護分野への外国人労働者受け入れ拡大に対する談話


UAゼンセン 日本介護クラフトユニオン(NCCU)
事務局長  染川 朗


政府の指示により、経済財政諮問会議と産業競争力会議の合同会議は、外国人労働者の受け入れを増やす方針を決定した。その中で、「外国人技能実習制度」を抜本的に見直し、介護分野への実習生の受け入れ拡大が検討されることとなった。

2025年、「団塊の世代」が75歳以上になる時点で、介護職員は現在より約100万人増やす必要があると言われている。今回の政府の方針は、まさに人材不足を解消させるためだけの施策であり、「外国人技能実習制度」の本来の目的に反すると言わざるを得ない。

人材不足は、根本的な原因である介護従事者の処遇を改善しなければ解消されないと言っても過言ではない。外国人労働者の受け入れを議論する前に、まずは国内の介護従事者の賃金水準の引き上げと労働環境の整備に注力すべきではないか。

同時に、現在約50万人と言われている潜在介護福祉士などの有資格者の掘り起こしを行い、介護人材の確保を行うことが重要である。

厚生労働省は、サービスの質及び介護職の専門性の向上の観点から様々な施策を講じている。受け入れが行われているEPAについても、国家資格である介護福祉士取得が前提となっている。介護分野に「外国人技能実習制度」を拡大するということは、介護技術を持たない無資格者が参入するということであり、そのことは、介護の質の低下を招くとともに利用者が安心して介護サービスを受けることができなくなる、ということを意味する。

また、介護は対人サービスである。したがって、職員間のみならず、利用者とその家族とのコミュニケーションが十分に図られなければならない。「外国人技能実習制度」は、外国人労働者の日本語能力の要件が定まっておらず、コミュニケーション能力が不可欠である介護サービスに支障を来たすことが懸念される。

以上のように、様々な問題が懸念される「外国人技能実習制度」の介護分野への拡大検討という政府の決定は、NCCUとしては到底受け入れがたいものであり、更なる検討と慎重な議論が必要であると考える。

今後もNCCUは、「介護従事者の社会的地位の向上」を目指すべく、政府の議論に注視するとともに、介護従事者の処遇と労働環境の改善に向けて対応を行っていく。

以上

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