1月20日、厚生労働省の「今後の介護人材養成の在り方に関する検討会」の第9回会合が開かれ、委員を務める河原四良政策顧問が出席しました。
介護福祉士の資格取得については、平成19年の法改正によって、平成24年度以降は実務経験者も含めすべての者に一定の研修が義務づけられることになっていました。しかし、前回の同検討会で、実務経験者の600時間(6カ月)研修を450時間に短縮する案の骨子が提示されました。
今回の会合では、とりまとめとしての「今後の介護人材養成の在り方について(案)」が提示され、450時間への短縮案をはじめ、実務経験者が働きながらでも受講できるようにするさまざまな配慮が盛り込まれました。
例えば、平成19年の法改正によって規定された600時間(6カ月)研修は、必ずしも6カ月連続して学校や養成施設に通うことを意味するものではないとし、今回の案には、『数年間かけて少しずつ研修を終了すればよい』『通信教育を積極的に活用することを想定する』『過去に受講した研修を評価する仕組みを入れ込むことも有益である』などの考えが盛り込まれました。
また、受講費用を教育訓練給付の対象にする等の支援策の必要性や、可能な限り低額な費用での研修実施を求めるなどの方針も示されました。
河原政策顧問は、介護人材の現実とあるべき姿がうまくジョイントされた報告案であるとして今回の案を支持し、次のように発言しました。
「私はできる限り、現場で働く者の視点で議論に参加することが役割だと思っており、《働きながら》を一つのキーワードにまとめられた報告書案は、現場の者にもしっかりとメッセージできる内容だと評価する。現場の業務に穴を空けないで、受講期間にもゆとりを持たせ、過去に受けた研修の読み替えも検討するなど、受講しやすい環境を整備していく方向性が示されたことに、非常に安堵している。また、費用支援策に言及されたことも歓迎したい」。
その一方で、介護の専門性等に対する“処遇上の評価”が記載されなかったことに触れ、「評価されるべき資格を持つ人には、評価に値する処遇が必要。納得できる処遇上の評価がなければ人材難は間違いなく続くということを、現場の意見として主張したい」と訴えました。
そして、介護報酬の加算措置などの評価をさらに進めていくことについて、『所管の審議会において検討が進められることを期待したい』と記された部分を指摘し、「期待ではなく、要請・要望・要求など、さらに強い表現で記載してほしい」と求めました。これに対し厚労省側は、「要請するとの表現に書き換える」と回答しました。
さらに河原政策顧問は、介護福祉士国家試験の受験実施日や受験地の拡大なども要求。これについて厚労省側は、「現時点では難しいが、受験しやすい環境を整えていきたい」と答えました。
厚労省は、同検討会におけるこれまでの議論を踏まえ、間もなく招集される通常国会に、社会福祉士・介護福祉士法改正案を提出する予定です。
現場の意見を反映しながら、介護福祉士の資格取得方法が改正されようとしています