10月28日、社会保障審議会の第35回介護保険部会が開催され、委員を務める河原四良政策顧問が出席しました。
この日は、厚生労働省側がこれまでの議論を踏まえた論点を提示。高所得者の利用負担割合の引き上げや、軽度者に対する給付の縮小、被保険者範囲の40歳未満への拡大など、給付や負担の見直しに関わる複数の案が挙げられました。
河原政策顧問は、財源の議論は制度持続のためには必要との認識を示した上で、「しかし、働く者の立場としては、“軽度者に対する給付の対応”は極めて慎重にしてほしい」と求め、介護現場で働く組合員の声として、次のように発言しました。
「前々回の介護報酬改定によって、生活援助サービスの時間縮小や福祉用具等の利用が制限された際、現場からは『利用者の自立を支援するサービスが本当に理解されていない。個別事例をもっと尊重してほしい』との意見を多く聞いた。今回も軽度者に対する給付を縮小する案があるようだが、万が一縮小することになったとしても、安易なサービス利用なのか、真の自立支援になっているのか、見極める方策をしっかり示していただきたい。そうした方策を打ち出すことによって、現場で働く者も利用者も納得できるのではないかと思う」。
保険料の徴収範囲を40歳未満へ拡大する案については、これまで同部会で発言したとおり拡大に賛成との姿勢を示し、「財源の確保はもちろんだが、介護の社会化という理念の実現のためにも、今後の検討課題ではなく“現実の検討課題”として取り上げてもいいのではないか」と意見しました。
さらに、この日の会合では、『24時間地域巡回型訪問サービスのあり方検討会』の堀田力座長から、同検討会の中間とりまとめが報告されました。
新たなサービスの基本コンセプトとして、24時間の対応、短時間ケアの提供、随時の対応を加えた安心サービスなどが挙げられたのを受け、河原政策顧問は、「随時の対応については、どのような議論をされたのか」と質問。堀田氏は「取捨選択の判断や臨機応変な対応ができるオペレーターが必要と考える」と回答しました。
また河原政策顧問は、「施設系と在宅系を兼務したり、2つの事業所を掛け持ちしながら働く介護職も少なからずいる。残業のカウントや労災問題についての対応も考慮していただきたい」と述べました。
介護保険部会では、次期介護保険制度改正に向けた意見のとりまとめを11月末までに行う予定です。
河原政策顧問は、現場の声として軽度者への給付のあり方などについて発言しました