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とりくみ Labor policy / Political action

介護労働者に対する政府の追加対策についての談話

2009年5月11日掲載

介護労働者に対する政府の追加対策についての談話

UIゼンセン同盟
日本介護クラフトユニオン
事務局長  陶山 浩三

NCCUは、本年度を「政労使で取り組む処遇改善・元年の年」と位置づけ、介護労働者の職業的地位の向上をめざし活動している。

厚生労働省の追加経済対策に盛り込まれた「介護職員処遇改善交付金」の目的は、「他の業種との賃金格差をさらに縮め、介護が雇用の場として成長していけるように事業者へ資金の交付を行う」としている。さらに、「介護報酬とは別の財布であり、3年後の介護報酬改定に反映させる」とのことである。
介護に働く者の賃金と職場環境の改善を通して、介護労働者の定着と雇用促進を国政に訴えてきたNCCUにとっては一歩前進したと言える。

しかし、介護の仕事は、強いチームワークが求められる仕事だという大きな視点を忘れると、せっかくの追加対策が生きないばかりか、歪な姿を作り出し、介護保険制度の崩壊につながることを認識しておくべきである。
それは要介護者・要支援者の生活に密着する介護の仕事は、ヘルパーだけで、ケアマネだけで、看護師だけで、事務員だけで支える仕事ではなく、介護に携わる全てのスタッフの総合的なチームワークが、要介護者の日常を支えているからである。
今回の「介護職員処遇改善交付金」は、厚生労働省によるとサービス類型毎に区分され、そのサービスに携わる専門職に交付されることになっている。
介護におけるチームワークの重要性を無視した今回の交付金のあり方では、専門職以外の同サービスに携わっている従業員のモチベーションに大きく影響することを指摘しておきたい。
また、除外されるサービス類型もあり、その理由なども含めて明らかになっていないことも問題であると指摘しておきたい。
こうした観点から、NCCUは、「介護職員処遇改善交付金」はすべてのサービスに携わるすべての介護労働者に交付されるべきである、と考える。

もう一方の視点でこの交付金のあり方について指摘しておきたい。
今年度3%引き上げられた介護報酬は、新聞などの報道によると、多くの事業者がその改善分を働く者への賃金改善より圧迫している経営対策に回しているとの見方がある。このことから厚生労働省が、介護労働者の処遇改善に直接結びつけるためには、追加対策である交付金に一定の規制をかけるべきとの考え方に至るのは理解できる。しかし、行政が労働者の賃金の具体的分配のあり方まで関与する施策をとることについては、労働組合であるNCCUとして懸念を表明しておきたい。

今こそ政府は、働く者にも強く焦点を当てた適正な介護報酬を構築するとともに、さらなる追加対策である今回の交付金の配分方法については、労働組合も入れた「政労使」で解決していくべきであることを主張する。

以 上

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