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介護報酬改定に関する事務局長談話

2015年01月20日掲載

介護報酬改定に関する事務局長談話

UAゼンセン 日本介護クラフトユニオン
事務局長 染川 朗

政府は、2015年度からの介護報酬を全体で2.27%引き下げるとした。
その内訳は、介護職員ひとりあたり月額1万2千円相当の処遇改善に+1.65%、中重度の要介護者や認知症高齢者等の介護サービスの充実に+0.56%、その他で▲4.48%としている。
人材確保への対策として介護職員の処遇改善に対する加算を拡充することについては一定の評価はできるものの、一方で、事業者への報酬を過去に例がないほど、大幅にカットするという政府の対応は次の理由により容認できない。

介護職員の処遇は、2009年4月からの介護職員の処遇改善を目的とした報酬のプラス改定と、同年10月より緊急経済対策として実施された介護職員処遇改善交付金を起源とする現在の処遇改善加算という二つの施策を要素として改善されてきた。今回の改定は、処遇改善に直結してきたこれまでの重要な要素である事業者の収支改善を切り捨てることととなり、処遇への影響は避けられないものと懸念する。
具体的には、業績の悪化による「賞与を始めとする成果配分的要素を含んだ賃金の引き下げ」「生活給となっている時間外労働手当の削減」「介護職員処遇改善加算の対象外職種(福祉用具専門相談員・看護師・ケアマネジャー・調理員・事務員等)の労働条件の切り下げ」等が懸念されるところである。また、「正規雇用の非正規雇用への置き換え」「行き過ぎた生産性向上による介護の質の低下」「過重労働・サービス残業等の増加」により離職者が増えるという逆の効果も懸念される。

いま介護従事者の処遇の低さからくる人材不足により、必要とする高齢者に介護サービスを提供出来ない事態も起き始めている。「働く人が集まらず高齢者を受け入れできない」「依頼された訪問介護サービスを提供できない」「人材確保出来ないので事業所を閉鎖する」。現場はここまで追い込まれている。また、人材不足が問題となっている他産業では賃金改善が進む中、介護従事者は取り残されており、物価上昇や消費税引き上げの影響は確実に生活を圧迫している。
こうした現状を国はしっかりと認識すべきである。

介護従事者の仕事が適切に評価される介護報酬の設定は、「介護従事者の処遇の問題」や「団塊の世代が全て高齢者となる2025年問題」にとどまらず、「今現在の介護を必要とする高齢者や社会保障全体の維持の問題」となりつつあり、政府は早急に財源確保も含めた有効な対策を講ずるべきである。
以上

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