11月25 日、厚生労働省社会保障審議会の第37回介護保険部会が開かれ、委員を務める河原四良政策顧問が出席しました。
今回は、19日に示された素案に修正を加えたものが「介護保険制度の見直しに関する意見(案)」として提示され、委員の間で議論が交わされました。議論された意見の調整は、最終のとりまとめとして同部会の山崎泰彦部会長に一任されました。
次期制度改正に向けて今年5月31日に始まった同部会の中で、河原政策顧問は、毎回、働く者の立場からの発言を行っており、厚労省から素案が示された前回会合でも、現場で懸命に働く介護従事者の環境を少しでも守れるよう、文章表現の修正や加筆を具体例を挙げて求めてきました。
それらの要望が今回の意見書に反映された事に対して感謝の意を述べた上で、河原政策顧問は次のように発言しました。
「私は、介護保険制度、日本の高齢社会を支えるのは“財源”と“人材”だと思っている。特に、“働く人”の観点から制度に対して発言する立場の者は少なく、今後も少しでも環境改善につながるよう、知恵を絞りながら発言していきたい」
「前回会合で示された素案がメディア報道されてから、私のもとには介護現場から抗議の声が寄せられている。例えば、『ケアプランの一部料金負担化は、適正なケアプラン作成や公正中立の立場から絶対反対』『高所得利用者の2割自己負担は、間違いなく利用抑制につながるから断固反対』などだ。いつも利用者に向き合っている介護従事者は、介護に向き合うと同時に、その方の人生や生活にも向き合っている。そんな介護従事者にとって、サービス抑制につながる改正は耐えられないこと。私も、そうした観点から、慎重な上にも慎重な改正をすべきだと考える」
さらに、限られた財源の中での改正議論であったことを背景に、次のように発言しました。
「この10年間、もちろん進化した面もあるが、制度改正や報酬改定の度に、財源が足かせとなり、給付抑制や負担増大につながった。それが高齢者政策の後退にも結びついており、大変残念だ。時の政権には、財源の基盤作りにしっかりと取り組んでほしい」
「また私は、質の良いサービス、安心のサービスのためには、私たち国民にも応分の負担が必要だと意識改革させるような政策も必要だと考えている。そうしなければ、給付と負担について議論する度に、毎回‘パイの取り合い’に終始する。今期の改正議論の‘本丸’でもあった負担と給付の問題は、私たちの国の形をつくる議論でもある。国民的な議論につながるよう、意見をまとめるにあたって、この部会から力強いメッセージを発信してほしい」
この日の会合を終えた河原政策顧問は、「介護保険部会の委員として次期制度改正の議論の場に参加した経験から、国の政策に直接関わる責任を痛感し、それと同時に手応えを得ることもできた」とのこと。
次期制度改正に向けた同部会での議論は今回で一区切りとなりますが、今後必要な場合は、あらためて議論の場が持たれることになっています。
厚労省は、同部会による意見書を受け、次期制度改正に関わる法案を来年の通常国会に提出する方針です。
左・河原政策顧問は、現場から寄せられた声を述べると共に慎重な改正を求めました
右・この日は多くの報道関係者も取材に訪れました